メインコンテンツに移動
OutSystemsとは?ローコード開発をリードする理由

OutSystemsとは?ローコード開発をリードする理由

ローコード開発は、近年のデジタル変革(DX)において欠かせない存在になっています。なかでも OutSystems は、エンタープライズ向けローコードプラットフォームとして世界中の企業から高く評価されています。単なる「素早くアプリを作るためのツール」ではなく、大規模開発や複雑な業務システムにも対応できる柔軟性と拡張性を持っている点が特筆すべきポイントです。 

本記事では、OutSystemsの基本的な特徴から、競合他社との比較、導入メリット、具体的な活用例、導入時の注意点までを幅広く解説します。ローコードに関心のある開発者やDX推進担当者にとって、実務に直結する情報を提供します。 

 

1. OutSystemsとは?

OutSystemsはポルトガル発のローコード開発プラットフォームで、現在は世界規模で導入が進んでいます。直感的なドラッグ&ドロップ操作でUIを構築できるだけでなく、複雑な業務ロジックや既存システムとの統合にも強みを持っています。 

特にエンタープライズ向けに設計されているため、金融、製造、医療、公共機関など高いセキュリティと拡張性を求められる分野で導入実績が豊富です。 

項目 

内容 

提供形態 クラウド・オンプレミス両対応 
対応規模 中小から大規模エンタープライズまで 
開発機能 ローコードUI構築、ロジック設計、API統合 
特徴 高い拡張性、エンタープライズ志向、豊富なテンプレート 

関連記事: 

ローコード開発プラットフォーム8選 

 

2. OutSystemsの特徴的な機能 

OutSystemsの最大の強みの一つは、従来の開発に比べて格段に短い期間でアプリケーションを構築できる点です。 

直感的なビジュアル開発環境と豊富なテンプレートを活用することで、専門的なコーディング知識がなくても、短期間で高品質なアプリを実現できます。 

 

2.1 ローコードによる超高速開発 

アプリ開発のスピードは、ビジネス競争力に直結します。OutSystemsは、その課題を解決する強力な手段を提供します。 

  • ビジュアルモデリングによる直感的な操作でアプリケーションをデザイン 

  • 「ソースコード生成」~「ビルド」~「デプロイ」まで自動化され、ワンクリックでアプリを生成 

  • 電通総研の試算では、従来比約5倍のスピードで開発可能 

  • 新しい価値を迅速にユーザーへ提供し、加速するビジネスの要求スピードに対応 

また、1つのプラットフォーム上で複数アプリを統合的に管理できるため、チーム開発にも柔軟に対応できます。 

 

2.2 ビジュアルアプリケーション開発 

複雑なコーディングを極力排除し、誰もがわかりやすく開発できる環境を整えるのもOutSystemsの大きな特長です。 

  • アイコンのドラッグ&ドロップによる直感的な操作 

  • 統合環境内で内部構造を視覚的に把握可能(ドキュメント不要) 

  • 開発者のスキル差による品質のばらつきを低減 

  • 業務ロジックやデータベースもビジュアルで作成可能 

  • Web/モバイルアプリを同じ手順で開発可能 

そのため、ユーザーに一貫した利用体験を提供しつつ、開発・運用コストの削減につなげられます。 

関連記事: 

Webアプリとは?仕組みや特徴、ネイティブアプリの違いを徹底解説

モバイルアプリとは?仕組み・種類・開発手法・活用事例5選を徹底解説

 

2.3 豊富なテンプレート・パーツ 

UI/UXの完成度はユーザー体験を大きく左右します。OutSystemsでは、あらかじめ用意された多彩なリソースを活用できます。 

  • スクリーンテンプレートで洗練されたUIを素早く構築 

  • 多様なUIパーツを組み合わせてデザイン性の高い画面を作成可能 

  • Web/モバイル対応のUIパーツにはアニメーション付きのものもあり 

これにより、開発工数を抑えつつもユーザーにとって直感的で魅力的なインターフェースを実現できます。 

 

2.4 BPT(ビジネスプロセステクノロジー) 

アプリ単体ではなく、業務プロセス全体を効率化するための機能も充実しています。 

  • ユーザー操作に連動した複雑なビジネスプロセスを可視化 

  • プロセスの追加・修正が容易、属人化を排除 

  • 分岐、メール送信、承認待ちなどのイベントをドラッグ&ドロップで設計 

  • イベントに連動してバックエンドで動作するアプリも作成可能 

結果として、業務効率の向上だけでなく、プロセスの透明性確保や標準化を推進できます。 

 

2.5 AIによる開発アシスト 

開発効率と品質をさらに高めるために、OutSystemsはAIによるサポート機能を備えています。 

  • 開発中のロジックから次のアクションをAIがサジェスト 

  • 典型的なロジックは候補を選ぶだけで構築可能 

これにより、開発者はスピードを落とすことなく品質を担保し、より高度な業務ロジックや価値創出に集中できます。 

 

2.6 マルチデバイス向け開発 

ユーザーが利用するデバイスは多様化しており、それに応える柔軟な開発基盤が求められます。 

  • デバイスサイズに応じたレスポンシブデザインを標準サポート 

  • GPS、カメラ、バーコードスキャンなどネイティブ機能を容易に利用可能 

  • iOS/Android双方で動作可能 

この機能により、ユーザー環境を問わず一貫した体験を提供でき、顧客満足度の向上につながります。 

 

2.7 マルチデータソース/外部連携機能 

既存システムとの連携は、企業のDX推進において不可欠です。OutSystemsはその点でも高い柔軟性を備えています。 

  • SAP、Salesforceなど主要システムと簡単に統合 

  • 外部DB(Oracle/SQL Server/MySQL/DB2)接続を標準サポート 

  • コミュニティ「Forge」からコネクターを導入可能 

  • REST/SOAPサービスやSAP連携機能を標準搭載 

これにより、企業は既存資産を活かしつつ新しいアプリケーションを迅速に展開できます。 

 

2.8 デプロイ(デリバリ管理) 

開発したアプリを安全かつ効率的にリリースし、継続的に改善できることも重要です。 

  • 開発/テスト/本番環境を一元管理 

  • アプリ展開・更新をワンクリックで実施可能 

  • 依存関係を自動チェックし、リリース漏れを防止 

  • ダッシュボードでパフォーマンス分析を継続的に確認可能 

こうした仕組みにより、安定した運用とアジャイルな改善を両立し、アプリケーションの価値を最大化できます。 

これらの機能により、OutSystemsは単なるローコード開発ツールにとどまらず、企業のDX推進を力強く後押しする包括的なプラットフォームとなっています。 

開発スピード、品質、運用効率、拡張性をすべて兼ね備え、変化の激しいビジネス環境において持続的な競争優位性を実現する基盤を提供します。 

 

3. Microsoft Power AppsMendixとの比較 

OutSystemsはMicrosoft Power AppsやMendixと比較されることが多いです。以下の表で代表的なプラットフォームとの違いを整理します。 

項目 

OutSystems 

Power Apps 

Mendix 

対象ユーザー エンタープライズ開発者 Microsoft 365ユーザー ビジネス~開発者 
強み 拡張性・統合性・大規模対応 Microsoft製品との親和性 柔軟なマルチクラウド対応 
導入事例 金融、製造、公共機関 中小企業、社内利用アプリ 製造、IoT領域 
カスタマイズ性 高い(コード追加可能 低~中 中~高 

この比較からもわかるように、OutSystemsは「大規模・複雑・高セキュリティ」といった要件を持つ企業に最適化されているのが特徴です。 

 

4. OutSystems導入のメリット 

OutSystemsを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。 

  • 開発スピードの加速:短期間でMVPを構築し、ユーザー検証を素早く行える 
  • 保守性の向上:ビジュアルベースで開発されているため、仕様変更への追従が容易 
  • コスト削減:人手不足の中で開発リソースを最小限に抑えつつ高品質なアプリを提供可能 
  • チームコラボレーション:開発者だけでなく業務部門も参加できるため、要件定義からリリースまでのギャップを減少 

これらは単なる効率化にとどまらず、ビジネス全体の競争力向上に直結します 

 

5. OutSystemsの活用事例 

5.1 金融業界 

複雑なワークフローを持つ金融機関では、顧客対応アプリや内部業務システムをOutSystemsで短期間に開発。セキュリティ要件にも対応できる点が評価されています。 

 

5.2 製造業 

IoTデータと連携した品質管理システムを構築。データ可視化とリアルタイム分析により、生産効率を大幅に改善しました。 

 

5.3 公共機関 

市民向けオンラインサービスを迅速に提供し、利用者満足度の向上と業務コスト削減を実現 

 

6. 導入時の注意点と課題 

OutSystemsは強力で多機能なプラットフォームですが、導入時にはいくつかのハードルや注意点があります。これを理解せずに導入すると、期待したROIを得られない可能性があります。 

 

6.1 高額なライセンスコスト 

OutSystemsはエンタープライズ向けに設計されているため、一般的なローコードツール(例:GlideAdalo)のように低価格ではありません。特に大規模利用を想定した場合、年間のライセンス費用が数百万円〜数千万円に達することもあります。そのため、コスト削減目的だけで導入すると逆効果になる場合があります。 

 

6.2 学習コストと習熟期間 

ローコードとはいえ、OutSystemsは大規模開発や統合を想定しているため、学習コストは決して低くありません。ドラッグ&ドロップで簡単にアプリが作れる一方で、実際の業務システムを構築する際には、データベース設計やAPI連携、セキュリティ設定などの高度な知識が求められます。企業としてはトレーニング体制を整える必要があります。 

 

6.3 ベンダーロックインのリスク 

OutSystemsで構築したアプリは、その基盤に依存する形になります。そのため、他のプラットフォームへの移行は容易ではありません。中長期的に利用し続ける前提でライセンス契約を結ぶ必要があり、5年後、10年後の運用戦略を見据えた判断が重要です。 

 

6.4 導入・運用プロセスの複雑さ 

OutSystemsは大規模企業の複雑な要件に対応できる反面、導入プロセスも複雑になりがちです。インフラ環境の整備、既存システムとの統合テスト、運用ガバナンスの設計といった工程を省略すると、せっかくの機能を十分に活かせません。 

 

7. OutSystemsの料金 

ビジネスの規模や利用目的に応じて選べるよう、OutSystems には無料からエンタープライズ向けまで幅広いプランが用意されています。以下の表は、各プランの料金と機能をわかりやすく比較したものです。 

プラン 

料金 

主な機能 

制限事項 

Personal Environment(無料) 

無料 

• 学習・評価目的での利用 
• 基本的な開発機能 
• 1ユーザーまで 
• クラウド環境提供 

• 商用利用不可 
• 外部DB接続不可 
• 本格的な本番環境不可 

Basic Plan 

月額1,513ドル〜 

• 商用利用可能 
• 100ユーザーまで 
• 基本的なガバナンス機能 
• メールサポート 

 

Standard Plan 

月額3,025ドル〜 

• Basicの機能に加えて 
• 1,000ユーザーまで 
• 高度なガバナンス機能 
• パフォーマンス監視 
• 24時間サポート 

 

Enterprise Plan 

カスタム価格 

• Standardの機能に加えて 
• 無制限ユーザー 
• エンタープライズガバナンス 
• 専用サポート 
• オンプレミス対応 

 

OutSystems の料金プランは、学習や個人利用向けの無料プランから、中小企業向けの Basic・Standard、そして大規模企業に最適な Enterprise まで柔軟に揃っています。 

また、アプリケーションの規模に応じて従量課金(AO)を追加できるため、成長に合わせたスケーラブルな利用が可能です。目的と規模に応じて最適なプランを選ぶことが、効率的なアプリ開発・運用の第一歩となります。 

 

おわりに 

OutSystemsは、単なるローコード開発ツールを超えた「エンタープライズ開発基盤」として進化を遂げています。開発スピード、拡張性、統合性、セキュリティといった多面的な強みを兼ね備え、グローバル企業のDX推進を力強く支えています。 

一方で、ライセンスコストや習熟の難易度といった課題も存在するため、自社の規模やニーズに応じて導入判断を行うことが重要です。適切な運用体制を整えれば、OutSystemsは業務変革を加速させ、競争優位性を獲得するための強力な武器となります。