Adaloとは?ノーコードでアプリを作る理由と実践活用法
ノーコードツールが普及するなかで、特にモバイルアプリ開発に強いプラットフォームとして注目されているのが Adalo(アダロ) です。プログラミングの知識がなくても、直感的な操作でWebアプリやネイティブモバイルアプリを作成できるのが特徴で、個人のアイデア実現から企業の業務改善まで幅広く活用されています。
従来、スマートフォンアプリの開発はSwiftやKotlinといった専門言語の知識、さらにApp StoreやGoogle Playでの公開準備が必要でした。しかしAdaloを使えば、ドラッグ&ドロップのUI設計、ビルトインのデータベース、外部サービス連携を組み合わせるだけで、アプリをゼロから完成させられます。
本記事では「Adaloとは何か」という基礎から、特徴、実際の使い方、導入事例、料金プランまでを詳しく解説します。
1. Adaloとは?

Adalo(アダロ)は、プログラミング不要でWebアプリやモバイルアプリを作れるノーコードプラットフォームです。ドラッグ&ドロップで画面を設計し、データベースやユーザー管理、フォーム入力など基本機能を簡単に組み込めるため、短期間で実用的なアプリを構築できます。
また、完成したアプリをApp StoreやGoogle Playに直接公開できる点も大きな強みです。スタートアップのMVP開発から中小企業の社内用アプリまで幅広く活用され、「誰でもネイティブアプリを作れる」ことが支持されています。
2. Adaloの特徴
Adaloの魅力は、ノーコードでありながら本格的なモバイルアプリを構築・公開できる点にあります。その特性を理解することで、用途に応じた最適な活用が可能になります。以下に主要な特徴を整理します。
項目 | 内容 |
UI設計 | ドラッグ&ドロップで画面を直感的に作成、豊富なコンポーネントを利用可能 |
データ管理 | ビルトインのデータベースを提供、外部DBとの連携もサポート |
機能 | ログイン機能、ユーザー認証、フォーム送信、プッシュ通知などを標準搭載 |
拡張性 | API接続、Zapier/Makeなどの外部サービス統合に対応 |
公開方法 | Webアプリとして利用可能、さらにApp Store・Google Playに直接公開可能 |
UX最適化 | ネイティブアプリとして動作するため、モバイルユーザーに快適な体験を提供 |
コラボレーション | チームメンバーとの共同編集、役割分担による効率的な開発が可能 |
コスト効率 | 従来のネイティブ開発に比べ、数分の一のコストと時間でアプリを完成させられる |
3. Adaloでアプリを作る手順
Adaloはノーコードでアプリを構築できるプラットフォームですが、ただ画面を配置していくだけではなく、データベースやワークフローを組み合わせることで、本格的なアプリへと進化させられます。
ここでは、Adaloを使ってアプリを作る一連の流れを具体的に解説します。
3.1 データベース設計
最初に必要なのは、アプリにどのようなデータを扱わせるかを決めることです。Adaloにはビルトインのデータベースが用意されており、エクセルのシートを作る感覚で「ユーザー」「商品」「予約」「メッセージ」といったテーブルを追加できます。それぞれのテーブルには「名前」「日付」「金額」「状態」などのフィールドを設定します。

例:予約アプリを構築する場合、「予約」テーブルには「ユーザーID」「予約日」「サービス名」「ステータス」といったフィールドを用意します。これによって、誰がいつどのサービスを予約したかを簡単に管理できるようになります。
3.2 UI画面の作成
次にアプリの画面をデザインします。Adaloではドラッグ&ドロップでボタン、テキスト、画像、リストなどのコンポーネントを配置できます。スマートフォンの画面サイズを意識しながら編集できるため、完成形をリアルタイムにプレビューしつつ作業できるのも大きなメリットです。

例:
- 商品カタログアプリでは「商品リスト画面」「商品詳細画面」「カート画面」を順に作成
- 社員名簿アプリでは「社員一覧画面」「プロフィール詳細画面」を設計
見た目を整えるだけでなく、ユーザーの行動フローを意識して「必要な情報に最短でたどり着けるUI」を組み立てることが重要です。
3.3 コンポーネントとワークフローの設定
Adaloでは画面に配置したコンポーネントにアクション(ワークフロー)を追加できます。ボタンを押したらデータを保存する、画面を遷移する、通知を送る、といった処理を組み合わせることで、アプリが単なる静的な画面から「動くアプリ」へと変わります。
例:
- 「予約する」ボタン → データベースに新規予約を追加 → ユーザーに確認画面を表示
- 「お気に入り」アイコン → 該当商品のIDをユーザーのお気に入りリストに追加
このワークフロー設定を駆使することで、複雑なロジックをコードなしで表現できます。
3.4 ユーザー管理と認証機能
多くのアプリには「ユーザーごとに異なる情報を表示する」仕組みが必要です。Adaloにはログイン機能やユーザー認証機能が標準搭載されており、新規登録、ログイン、パスワードリセットなどを簡単に組み込めます。これにより、パーソナライズされた体験を提供できます。

例:
- 社員専用アプリでは「ログインユーザーのみアクセス可能」と設定し、外部には情報を公開しない
- 学習アプリでは「受講者には学習コンテンツを、講師には進捗管理画面を表示」といった権限分けが可能
3.5 テストとプレビュー

アプリの基本設計が終わったら、Adaloのプレビュー機能で動作を確認します。データが正しく保存・反映されるか、ボタンやリンクの挙動が期待通りかを検証することが大切です。スマートフォン実機でテストすれば、実際の操作感やUXを体感しながら改善できます。
3.6 公開と配布

完成したアプリはWebアプリとして公開することもできますし、さらにApp StoreやGoogle Playに直接申請・公開することも可能です。ノーコードで作成したアプリがそのままネイティブアプリとして配布できる点は、Adaloならではの大きな強みです。
例:
- 社内利用ならWebアプリとしてURL共有するだけで十分
- 顧客向けサービスならApp Store/Google Playに公開して一般ユーザーに配布
データベース設計 → UI作成 → コンポーネントとワークフロー設定 → ユーザー管理 → テスト → 公開 という流れを押さえれば、個人でも企業でも短期間で実用的なアプリをリリースすることができます。
4. 使用例:Adaloの実用シナリオ
Adaloは多用途に対応できる柔軟なノーコードプラットフォームです。以下では代表的なユースケースを整理し、それぞれの特徴を比較しやすい形で示します。
項目 | 予約管理アプリ | タスク管理アプリ | 社内勤怠アプリ | 顧客管理アプリ(CRM) | 学習アプリ |
概要 | 美容室やクリニックの予約をオンライン化 | チームでのプロジェクト進行を可視化 | 出退勤記録をスマホから入力 | 顧客情報や購入履歴を一元管理 | 教材配信や進捗管理をサポート |
主な機能 | カレンダー表示ユーザー認証プッシュ通知 | タスク登録・編集担当者割り当て進捗ステータス | 打刻ボタン管理者ダッシュボードCSVエクスポート | 顧客プロフィール画面検索・フィルタデータ分析用連携 | ログインによるアクセス制御動画/資料配信クイズ・スコア機能 |
効果 | 電話対応を削減し、予約効率を向上 | チームの生産性向上と進捗管理の効率化 | ペーパーレス化とリアルタイム管理 | 顧客対応の質を高め、売上拡大に貢献 | 受講者のエンゲージメントを強化 |
Adaloは予約管理やタスク管理といった業務効率化から、学習や顧客管理といったサービス提供まで、多様なシーンで活用可能です。業種や規模を問わず導入できる柔軟性こそが、Adaloの最大の強みといえます。
5. Adaloのメリットと制限
Adaloはノーコード開発の中でも高機能で直感的な操作性を誇りますが、すべてのケースに万能というわけではありません。ここでは、Adaloを利用する上での代表的なメリットと制限を整理します。
項目 | メリット | 制限 |
UI設計 | ドラッグ&ドロップで直感的に画面作成可能、ネイティブアプリに近い体験を実現 | 高度なカスタマイズは制限され、完全自由なデザインには不向き |
データ管理 | ビルトインDBが標準搭載、外部サービス連携も容易 | 複雑なデータ処理や大規模DBには不十分 |
機能拡張 | プッシュ通知、ユーザー認証、フォーム送信などが標準搭載 | ネイティブ言語レベルの特殊機能は追加困難 |
公開方法 | WebアプリだけでなくApp Store・Google Playに直接公開可能 | 公開時にはApple/Googleの審査が必要で、時間と手間がかかる |
開発効率 | コード不要で短期間にMVPを作成可能 | 大規模アプリや独自仕様の実装では柔軟性が不足 |
コスト | 従来の開発と比べ低コストで始められる | プロジェクトが拡大すると料金プランのコスト負担が増大 |
Adaloは少人数のチームやスタートアップがスピード重視でアプリを構築する際に非常に有効ですが、エンタープライズ級の高度な要件や特殊な機能を求める場合には制約もあります。
したがって、利用シーンを見極め、必要な機能とコストのバランスを考慮することが導入成功のカギとなります。
6. 料金プラン
Adaloには、用途や規模に応じて選べる複数の料金プランが用意されています。ここでは、最新のプラン内容を整理して、どのプランがどんな状況に適しているかを理解できるようにします。
プラン | 月額料金 | 主な特徴 | 適した用途・規模 |
Free | 無料 | レコード数200件/アプリ、公開アプリ数制限あり、1名の編集者利用可、無制限スクリーンとテストアプリ利用可能 | 試作・学習用、小規模プロトタイプ |
Starter | 約 US$45/月(年払いで割引あり) | 1つの公開アプリ、複数の編集者(例5名)、独自ドメイン利用可、App Store/Web公開などが可能 | 小規模プロジェクト、スタートアップ初期、内製アプリ向け |
Professional | 約 US$65/月 | 公開アプリ数が増加、月次アプリアクション数が多め、デザインバージョン管理やGPS機能など追加機能あり | 性能が少し必要な業務アプリ、中規模サービス向け |
Team | 約 US$200/月 | 複数の公開アプリ(例5アプリ)、多数の編集者(例10名)、優先サポート、外部サービスとの深い統合(API/外部DBなど) | 複数プロジェクトを抱えるチームや代理店、大規模利用向け |
Business | 約 US$250/月 | 公開アプリ数多数、アプリアクション数がかなり多い、編集者数制限が緩和、特別サポートあり | 大規模組織、顧客数が多いアプリ、成長フェーズのサービス向け |
Adaloのプランは「公開アプリ数」「アクション数」「レコード数(データ容量)」「編集者数」「サポートや統合機能」によって差があります。初めて利用する場合は、コストと機能のバランスが取れたStarterまたはProfessionalプランが適しており、MVP開発や社内ツール構築に十分対応できます。
一方で、ユーザー数が増加したり複数アプリを運用したりする段階に入ったら、より拡張性の高いTeam以上のプランを検討するのが望ましいでしょう。
おわりに
Adaloはノーコードながら本格的なWeb・モバイルアプリを構築でき、ドラッグ&ドロップで直感的にUIを作成可能です。ビルトインDBや外部連携を活用すれば、従来数か月かかった開発を数日〜数週間で完了でき、さらにApp StoreやGoogle Playへ直接公開できる点が、個人やスタートアップの迅速な市場参入を支えます。
ただし大規模処理や特殊機能には制約もあるため、小規模から始めて必要に応じて上位プランや他ツールと組み合わせる戦略が有効です。初心者から企業まで、Adaloはスピーディかつ低コストでデジタルプロダクトを立ち上げる強力な選択肢となります。