UXが悪くても使われる理由と改善判断のポイント
UXが十分に洗練されていなくても、特定のプロダクトが長期間使われ続ける現象は珍しくありません。業務システムや公共サービスのように代替がない領域では、多少の不便があっても利用が継続されやすく、結果として「使われている=体験が良い」という誤解が起こりやすくなります。ここには、切り替えコスト、慣れ、成果の大きさといった複数の要因が絡みます。
このとき重要になるのが、有用性優位効果です。「役に立つなら多少使いにくくても許容される」という傾向は確かに存在しますが、UX改善の文脈では“免罪符”として扱われやすい危険があります。問題が表面化しにくい状態は、改善優先度を誤って下げ、学習コスト・心理的負担・回避行動といった見えない負債を蓄積させます。数値指標が悪くないのに現場が疲弊している、という状態はこの構造で起きやすいです。
有用性とUXは対立概念ではなく、文脈とフェーズで優先度が変わります。専門性が高い領域、代替がない環境、緊急性が高い場面では有用性が先に立つことがあります。一方で、継続利用・競争環境・信頼形成のフェーズに入るとUXが差別化要因になり、改善を後回しにするほど成長の足かせになります。優先順位を誤らないための判断軸を整理することが、長期的に強いプロダクト設計につながります。
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