知っておくべきDX用語選
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、もはや一部の先進企業だけの取り組みではなく、すべての業種・業界において求められる経営戦略の中核となっています。しかし、その背景には多くのテクノロジーや業務改革が関係しており、関連する用語は非常に専門的で複雑です。
本記事では、DXの本質を理解し、現場で即活用できるような実践的キーワードを厳選して解説しました。単なる定義にとどまらず、それぞれの用語がどのようなビジネス課題と関係し、どんな役割を果たすのかも押さえています。
【ア行】
日本語 | 英語 | 解説 |
アジャイル/アジャイル開発 | Agile / Agile Development | ユーザーの変化する要求に迅速に対応するため、小規模な機能単位で開発サイクルを回し、継続的にリリースを行う手法。短期フィードバックを活かし品質と適応性を向上。 |
オープンイノベーション | Open Innovation | 企業内外のアイデアを融合し、革新的価値を創出。ITではスタートアップや異業種との連携により、最先端ソリューション開発を加速させる。 |
【カ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
カーボンニュートラル | Carbon Neutral | 排出と吸収を相殺し実質ゼロにする取り組み。IT分野ではデータセンターのエネルギー効率化やグリーンIT設計が、環境負荷低減の鍵となる。 |
競争領域 | Competitive Domain | 価格・機能・性能などで競う領域。ITシステムでは、技術差別化やUX強化を通じて競争優位を確立するための戦略ポイント。 |
協調領域 | Collaborative Domain | 共通仕様や標準化で協力し合う領域。APIやデータフォーマットの統一により、システム間の相互運用性を向上させ、顧客価値を高める。 |
クラウドサービス | Cloud Services | ネットワーク経由でデータ・ソフトウェアを提供。インフラの柔軟性・スケーラビリティ・コスト効率の向上を実現し、DXの基盤となる。
|
ケイパビリティ | Capability | 企業が持つ組織的能力。IT戦略では、技術導入力や運用力が競争優位の源泉となり、DXを推進するための重要指標となる。 |
コミットメント | Commitment | プロジェクトや戦略に対する責任ある約束。DXでは、経営層から現場までの一貫した取り組み姿勢がシステム導入成功の要となる。 |
コンテナ | Container | アプリを隔離環境で動作させる技術。リソース効率が高く、マイクロサービスとの親和性も高いため、迅速なデプロイや運用自動化に寄与。 |
【サ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
サイバーフィジカルシステム | Cyber‑Physical System | 実世界から収集したデータを仮想空間で解析し、また現実にフィードバックするループシステム。スマートシティや製造のリアルタイム制御に応用される。 |
事業継続計画(BCP) | Business Continuity Plan | 災害や障害時も事業を継続するための計画。ITでは冗長化、バックアップ、自動フェイルオーバーなどを設計し、早期復旧を可能にする。 |
【タ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
ディスラプション | Disruption | 従来の市場や技術を根本から変える破壊的イノベーション。ITでは新技術や新ビジネスモデルが、既存システムや慣習を一変させるほどのインパクトを与える。 |
出口戦略/計画 | Exit Strategy | 投資からの回収を目的とする戦略。MVP検証後のIPO、M&A、資産売却などを通して、DXプロジェクトの次フェーズへの資金移動を計画。 |
デザイン思考 | Design Thinking | ユーザー視点で問題を根本から解決する手法。ITプロジェクトではUX改善やイノベーション創出を促し、サービス品質を飛躍的に高める。 |
デジタイゼーション | Digitization | アナログ情報をデジタル化するプロセス。レガシーな紙・手作業を電子化し、ITシステムでの高速・正確なデータ管理を実現する。 |
デジタライゼーション | Digitalization | デジタル技術を活用し業務プロセスや製品価値を向上させる変革。単なるIT化を超え、ビジネスモデル自体を革新するDXの中核となる。 |
デジタルツイン | Digital Twin | 物理的資産やシステムの状態をリアルタイムで仮想空間に再現。シミュレーション・予測保守・最適化など、ITによる運用効率化を実現する。 |
【ナ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
ノーコード開発 | No‑Code Development | プログラミング不要で既存コンポーネントを組み合わせてアプリを構築。業務部門主導の迅速プロトタイピングや、開発負荷軽減によるDX推進に寄与。 |
【ハ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
バリューアップ | Value Up | 製品やサービスの価値を高める戦略。ITではUX改善、データ分析、運用効率化を組み合わせ、顧客にとっての総合的価値を向上させる。 |
ブレークスルー | Breakthrough | 画期的な技術革新や成果を指す。IT分野では従来の限界を打破する新アルゴリズムやプラットフォームが、市場や競争環境を一変させる。 |
【マ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
マイクロサービス | Microservices | システムを小さな独立サービスで構成。疎結合により個別のスケーリング・デプロイが可能となり、柔軟性・耐障害性を高めるアーキテクチャパターン。 |
マインドセット | Mindset | 組織や個人の思考パターン。DXでは「変化を受容し挑戦するマインドセット」を育成し、継続的改善と革新を推進する文化を醸成することが重要。 |
【ラ行】
日本語 | 英語 | 解説 |
ラン・ザ・ビジネス | Run the Business | 既存ビジネスや業務プロセスの継続運営。ITでは基幹システムの安定稼働、運用自動化、コスト最適化を通じて日常業務を支える。 |
リーンスタートアップ | Lean Startup | MVPを早期投入し、ユーザー検証を繰り返す手法。無駄を排除し迅速に市場適応することで、ITプロジェクトのリスクを低減し効率的な開発を実現。 |
レガシー | Legacy | 古いシステムや技術のこと。DXでは、レガシー刷新やモダナイゼーションが大きな課題となり、戦略的に計画・実行する必要がある。 |
レジリエンス | Resilience | 障害や変動に対し迅速に回復する能力。ITインフラの冗長化、バックアップ、耐障害設計により、事業継続力を高める。 |
ローコード開発 | Low‑Code Development | 最小限の手書きコードでアプリを構築する手法。ビルトインコンポーネントと組み合わせて、プロトタイピングと開発工数の大幅削減を実現。 |
【アルファベット】
日本語 | 英語 | 解説 |
AI(人工知能) | Artificial Intelligence | コンピューターにより人間の知的作業を模倣・実現する技術。機械学習、ディープラーニング、自然言語処理などを含み、ITにおける自動化や意思決定支援システムの中核として活用される。 |
dApp(分散型アプリケーション) | dApp (Decentralized App) | ブロックチェーン上で動作する分散型アプリ。集中型ミドルウェアを置き換え、耐改ざん性と透明性を強化する。 |
DevOps | DevOps | 開発(Development)と運用(Operations)の連携を強化し、CI/CDパイプラインを通じてリリースサイクルを高速化。品質と迅速性を両立させる。 |
IoT(モノのインターネット) | Internet of Things | 様々なデバイスやセンサーがインターネットに接続され、データ収集・解析やリモート制御を行う技術。スマートシティや産業オートメーションの実現を支える。 |
PoC(概念実証) | Proof of Concept | 新技術やプロジェクトの実現可能性を初期段階で検証するプロセス。IT投資や新プロダクトのリスク評価、効果測定に必須のステップ。 |
SDGs(持続可能な開発目標) | Sustainable Development Goals | 国連が定めた2030年までの持続可能な開発のための目標群。IT業界では環境負荷低減や社会課題解決のための指針として注目される。 |
SOA(サービス指向アーキテクチャ) | Service‑Oriented Architecture | 機能を独立したサービスとして設計し疎結合で連携させるアーキテクチャ。柔軟性・再利用性・拡張性を高め、迅速なサービス展開を可能にする。 |
Society5.0 | Society 5.0 | サイバー空間とフィジカル空間を融合させ、経済発展と社会課題解決を両立する次世代社会の概念。スマートシティやヘルスケアなどで革新的価値を創出する土台となる。 |
VUCA | Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity | 変動性・不確実性・複雑性・曖昧性を示す概念。IT戦略では急速な市場変動や技術革新に対応するため、組織体制やリスク管理体制の柔軟化が求められる。 |
参考文献:DX関連用語集
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