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UIレイアウト20選:用途別の選び方と設計のコツ

レイアウトは単なる視覚的整理のための枠組みではなく、情報の優先順位および行動導線を、ユーザーの視線移動や操作特性に基づいて構造的に固定するための設計要素です。どの情報から認知が始まり、理解がどのように進行し、どの時点で操作判断が発生するのかを、画面構造として事前に織り込む役割を担います。UI設計においては、配色や装飾、文言といった要素は後から調整できますが、レイアウトは体験の前提条件として機能するため、UXを成立させる基盤として初期段階で慎重に設計する必要があります。

この観点から見ると、レイアウトとは画面上の配置ルールではなく、理解から行動に至るまでの思考と操作の流れを制御する仕組みだと捉えられます。目的に適合したレイアウトでは、ユーザーはすべての説明文を精読しなくても全体像を把握でき、判断のたびに迷うことなく操作を継続できます。画面構造そのものが判断を補助するため、認知負荷が抑えられ、体験全体に対する安心感が自然に形成されます。

一方で、目的とレイアウトの整合性が取れていない場合、表層的な改善を重ねても使いづらさは解消されません。情報の配置や視線誘導の前提が崩れているため、ユーザーは常に「何を基準に判断すればよいのか」を探し続ける状態に置かれます。その結果、画面上の情報量は増えていくにもかかわらず、「分からない」「見つからない」「次に進めない」といった体験が残りやすくなります。

特に、機能や情報量が時間とともに増加していくプロダクトでは、レイアウトが拡張を前提としても破綻しない構造であるかどうかが、UXの安定性を大きく左右します。初期段階では整理されて見えるUIであっても、運用が進むにつれて要素が積み重なると、配置の原則が曖昧になり、体験と開発の両面で無理が生じがちです。本記事では、代表的なレイアウトパターンを実務視点で整理し、選定および実装の判断が滞りなく行えるよう、設計上の考え方と注意点を体系的に示していきます。 

1. UI レイアウト選定で迷わないための前提 

レイアウトで迷ったときに最初に戻るべきなのは「この画面の主目的は何か」を一文で言える状態です。読む・探す・比較する・編集する・意思決定するなど、画面が担う中心の役割が曖昧なままだと、複数の体験を同時に成立させようとして構造が混ざりやすくなります。混ざった結果、読む体験も探す体験も弱くなり、「どこを見ればよいか分からない」という不安が生まれます。主目的を一文に固定できるほど、必要な情報の粒度や、CTAの位置、補助導線の置き方が自然に決まり、型の候補も絞り込みやすくなります。 

次に置いておきたい前提は「増えること」を当然として設計することです。初期の要素数だけで作ると、追加が入るたびに場当たり的な増築が始まり、カードが乱立し、モーダルが深くなり、導線が複雑化しやすくなります。増えること自体は悪ではありませんが、増えたときに秩序が保てる型を選べていないと、ユーザーの認知負荷が増え、チームの判断コストも上がります。半年後に情報が2倍になっても「探し方」と「選び方」が崩れないか、という視点を最初から入れておくと、短期の見た目より長期の体験品質で勝ちやすくなります。 

 

2. UIレイアウト20パターン 

UIレイアウトは、情報を「見た目よく並べる技術」ではなく、ユーザーの認知処理(知覚 → 理解 → 判断 → 行動)を段階的に誘導するための構造設計です。画面上で要素がどの順序で知覚され、どの関係性として理解されるかは、配置・余白・整列・密度といった構造要素によって規定されます。これは視覚的印象に留まらず、理解速度や判断の確信度に影響し、結果として行動のしやすさや離脱の起こりやすさを左右します。 

また、レイアウトは情報設計・インタラクション設計と密接に結びついた、体験全体の前提条件です。読むことを主とする画面、比較や選択を行う画面、継続操作を前提とする画面では、必要な認知的支援が異なります。したがってレイアウトは「汎用の型」ではなく、利用文脈と行動モデルに応じて選択・調整されるべき構造です。 

ここでは、20パターンを「どの認知負荷を支えるか」で並べ替え、各パターンの設計判断が見える形に整えます。 

 

2.1 シングルカラム(Single-Column Layout) 

シングルカラムは、情報が一本の流れとして提示されるため、読みのリズムが途切れにくく、内容への理解と納得が積み重なりやすい型です。構造が前に出ないぶん、見出しや段落の整理がそのまま信頼感に直結します。一方で、回遊や次の行動が見えにくくなりやすいため、本文の集中を壊さない「薄い導線設計」が重要になります。本文を邪魔せず、要点・目次・次アクションだけを拾える状態を作ると、読書体験を保ったまま行動へつなげられます。 

項目 

内容 

要点 

一本の読み流れで理解を積む 

向いている用途 

記事・ブログ・ガイド・ヘルプ・説明ページ 

ユーザーの認知支援 

連続読解・段階理解・迷いの最小化 

代表コンポーネント 

見出し階層・目次・要点ボックス・本文・次アクション 

強み 

読みの集中・理解の連続性・構成の安定 

注意点 

比較・探索が弱い・長文で離脱点が増えやすい 

設計のコツ 

目次・要点・次アクションを「邪魔しない場所」に固定 

レスポンシブ方針 

モバイル優先で成立・PCは余白で可読性を上げる 

計測指標 

スクロール到達率・滞在時間・目次クリック率・次アクション率 

よくある失敗 

補助要素を盛りすぎて本文が読みにくくなる 

シングルカラムは「読む」目的に最短で到達できる反面、次の行動が自然には立ち上がりません。本文の集中を守りつつ、要点・現在地・次アクションを最小限で補うと、理解から行動への橋ができます。追加要素は多さではなく、配置の節度が効きます。読みの邪魔をしないこと自体が、最大の体験価値になります。 

 

2.2 Fパターン(F-Pattern Layout) 

Fパターンは流し読みを前提に、上段と左側へ要点を集約し、必要情報だけを素早く拾わせる配置です。見出しや要約が整理されるほど判断は速くなり、探す目的に強く機能します。ただし右側は装飾扱いになりやすく、重要情報を置くと見落とされがちです。右側に置くなら「比較・根拠・補助判断」など役割を明確にし、文章構造と一体で設計することで、視線傾向がそのまま成果につながります。 

項目 

内容 

要点 

スキャン前提で要点を最短で拾わせる 

向いている用途 

ニュース・ブログ・ヘルプ・検索結果・長文コンテンツ 

ユーザーの認知支援 

速いスキャン・要点抽出・意思決定の入口づくり 

代表コンポーネント 

強い見出し・要約・強調語・箇条書き・補助情報カラム 

強み 

スキャンしやすい・要点が拾われやすい 

注意点 

右側が読まれにくい・情報が薄いと離脱が早い 

設計のコツ 

見出し・要約・強調語を上と左に、右は判断材料に寄せる 

レスポンシブ方針 

モバイルは縦積み・右カラムは下へ回すか折りたたむ 

計測指標 

検索・絞り込み利用率・要約クリック率・記事回遊率・離脱率 

よくある失敗 

右に置いた重要情報が気づかれない 

Fパターンは「読む」より「探す」に寄るほど効果が強く出ます。見出しと要約の質が低いと、視線が拾うべき情報がなくなり、早く離脱されます。右側は装飾にしない方が安全で、置くなら“判断材料の棚”として役割を固定するのがコツです。文章と配置が分離すると崩れやすいので、構造として一緒に設計します。 

 

2.3 タイムライン(Timeline Layout) 

タイムラインは情報を時間・手順の順に並べ、出来事の流れと現在地を把握しやすくするレイアウトです。履歴や進捗が価値になる体験では、理解だけでなく信頼を支える骨格になります。ただし件数が増えるほど目的地点を探しにくくなり、ただのログ表示に落ちやすい点が課題です。フィルタ・検索・重要イベントの強調を前提に組み込み、長期運用でも「探せる履歴」にすることで、価値が持続します。 

項目 

内容 

要点 

流れと現在地を可視化して理解を支える 

向いている用途 

履歴・活動ログ・オンボーディング・ステップ表示 

ユーザーの認知支援 

時系列理解・因果の把握・進捗の安心感 

代表コンポーネント 

日付ラベル・イベントカード・ハイライト・フィルタ・検索 

強み 

流れが分かる・現在地が明確になりやすい 

注意点 

件数増で探しにくくなる 

設計のコツ 

期間フィルタ・検索・重要イベント強調を用意 

レスポンシブ方針 

モバイルは縦一列・ラベルは省略せず階層で整理 

計測指標 

検索利用率・フィルタ利用率・重要イベント閲覧率・再訪率 

よくある失敗 

ただ並べるだけで重要度が伝わらない 

タイムラインは“並べた瞬間に完成”ではなく、“増え続ける前提で探せるようにする”ことで価値が出ます。重要イベントが埋もれると、信頼を支えるはずの履歴が、逆に不安要因になります。探索導線を最初から仕込むほど、運用が長くなっても破綻しません。現在地の明確さは、体験の安心感を直接押し上げます。 

 

2.4 ステッパー・ウィザード(Stepper・Wizard Layout) 

ステッパー・ウィザードは、複雑なタスクを段階化して完了まで導くレイアウトで、進捗の可視化が安心感を生みます。入力負荷や誤操作を抑えられる一方、分割しすぎると手数が増え、疲労と離脱を招きます。意味のある判断単位で区切り、途中保存と後戻りをセットで用意すると、離脱を抑えつつ納得感を保てます。ステップ数よりも「迷いが減る粒度」に揃えることが設計の焦点です。 

項目 

内容 

要点 

複雑タスクを段階化し完了率を上げる 

向いている用途 

申込・設定・チェックアウト・初期セットアップ 

ユーザーの認知支援 

進捗の安心・入力負荷分散・誤りの局所化 

代表コンポーネント 

ステップ表示・次へ・戻る・途中保存・入力検証 

強み 

完了率を上げやすい・進捗で安心を作れる 

注意点 

ステップが多いと疲れる・戻れないと不安が増える 

設計のコツ 

ステップ最小化・途中保存・戻りやすさをセットで 

レスポンシブ方針 

モバイルはステップを簡略表示・入力は1画面に詰めすぎない 

計測指標 

ステップ別離脱率・エラー率・完了率・途中保存率 

よくある失敗 

分割が目的化し、結局長くなる 

ウィザードは「分割=親切」ではなく、「判断単位の整理=親切」です。分け方が悪いと、ユーザーは同じ判断を何度もやり直すことになり、疲れます。途中保存と後戻りがあるだけで、完了率は実務的に大きく変わります。完了までの道筋を“短く”するより、“迷わなく”することが重要です。 

 

2.5 スティッキーセクション(Sticky Sections Layout) 

スティッキーセクションは、重要な操作要素をスクロール中も保持し、行動の途切れを防ぐレイアウトです。比較・入力など判断負荷が高い場面では、操作の見失いを減らし、行動を後押しします。一方で常時表示は画面を圧迫し、読解や探索の邪魔になることがあります。表示要素を最小限に絞り、モバイルでは高さ管理を徹底することで、利便性と快適さを両立できます。 

項目 

内容 

要点 

重要操作を保持して行動の途切れを防ぐ 

向いている用途 

比較・選択ページ・検索一覧・長いフォーム・LP 

ユーザーの認知支援 

操作の見失い防止・判断の継続・行動の確信維持 

代表コンポーネント 

固定CTA・固定フィルタ・固定サマリー・戻る・進捗表示 

強み 

操作を見失いにくい・意思決定を後押ししやすい 

注意点 

画面が狭くなる・邪魔に感じられることがある 

設計のコツ 

表示要素を最小に、モバイルは高さを抑える 

レスポンシブ方針 

モバイルは1列固定・必要時のみ展開する設計が有効 

計測指標 

CTAクリック率・スクロール深度・フォーム完了率・誤タップ率 

よくある失敗 

常に出して本文が読めなくなる 

スティッキーは“便利さ”が“邪魔さ”に転びやすい型です。残す要素は「判断と行動に直結する最小」に絞るほど効きます。固定を増やすほど、本文の可読性と衝突するため、モバイルでは特に高さの上限を決めるのが重要です。表示の節度が、体験の快適さを守ります。 

 

2.6 グリッド(Grid Layout) 

グリッドは、行と列の規則性によって候補を並べ、比較と選択を効率化するレイアウトです。視覚的探索はしやすい一方、判断材料の配置が揃っていないと差分が把握しにくくなります。比較に必要な情報を同じ位置に固定し、並び替え・絞り込みと組み合わせることで、選びやすさが安定します。「並べる」より「揃えて比較できる状態にする」ことが設計の核です。 

項目 

内容 

要点 

規則配置で探索と比較を速くする 

向いている用途 

商品一覧・ギャラリー・作品一覧・検索結果タイル 

ユーザーの認知支援 

視覚探索・差分比較・選択の負荷軽減 

代表コンポーネント 

サムネ・価格・評価・主要属性・フィルタ・ソート 

強み 

比較が速い・視覚の一覧性が高い 

注意点 

差分が見えないと選べない・情報が増えると散らかる 

設計のコツ 

意思決定要素を「同じ位置」に固定する 

レスポンシブ方針 

列数を段階的に変える・重要情報は折り返しても位置関係を守る 

計測指標 

フィルタ利用率・ソート利用率・カードクリック率・購入・問い合わせ率 

よくある失敗 

サムネ重視で判断材料がカードごとに違う 

グリッドの価値は「一覧」ではなく「比較」です。比較軸が揃っていないと、候補が多いほど選べなくなります。ユーザーが決めるための要素を固定し、フィルタ・ソートで探索の道具を整えると、迷いが減って行動が増えます。見た目の整列より、判断の整列が本体です。 

 

2.7 カードベース(Card-Based Layout) 

カードベースは、情報を独立単位として整理し、増減や差し替えに強い拡張性を持つレイアウトです。更新頻度の高い場面では運用しやすい一方、要素が増えると重要度の差が薄れ、「全部同じ」に見えやすくなります。役割に応じたサイズ・並び順・バッジで優先度を固定し、カード内構造を揃えることで比較しやすさが生まれます。運用で増える前提なら、最初から優先度のルールを埋め込むことが重要です。 

項目 

内容 

要点 

独立単位で整理し、増減に耐える 

向いている用途 

フィード・ダッシュボード・レコメンド・一覧+要約 

ユーザーの認知支援 

小さな判断の連続・回遊・比較の軽量化 

代表コンポーネント 

カード・バッジ・固定メタ情報・サマリー・保存・共有 

強み 

拡張性が高い・レスポンシブに強い 

注意点 

優先順位が薄まり「全部同じ」に見えやすい 

設計のコツ 

主役カードを作り、バッジ・並び順・サイズで差を固定 

レスポンシブ方針 

1列→2列→多列へ段階・カード内の情報順序は崩さない 

計測指標 

回遊率・保存率・カードCTR・滞在時間・再訪率 

よくある失敗 

カードの中身がバラバラで比較できない 

カードは運用で増えるほど真価を発揮しますが、同時に破綻もしやすい型です。主役と脇役の差が曖昧だと、情報が増えるほど判断が散ります。カード内の項目配置を揃えるだけで比較コストが下がり、迷いが減ります。拡張性を活かすには、ルールの固定が欠かせません。 

 

2.8 メイソンリー(Masonry Layout) 

メイソンリーは高さの異なるカード配置で視覚的リズムを生み、発見を楽しませるレイアウトです。偶然性が価値になる場面では強い一方、比較や選定には弱くなりがちです。眺めるだけで終わらせず、タグ・フィルタ・保存など「整理の出口」を用意することで、探索から行動へつながります。楽しさと成果を両立するには、偶然性を残しつつ意思決定の道具を追加する設計が要点になります。 

項目 

内容 

要点 

偶然性で発見を継続させる 

向いている用途 

画像中心の発見体験・コレクション・探索フィード 

ユーザーの認知支援 

連続閲覧・発見の快感・興味の探索 

代表コンポーネント 

可変カード・タグ・保存・フィルタ・おすすめ・関連表示 

強み 

発見が続く・偶然の出会いが増えやすい 

注意点 

比較が難しい・整理導線が弱いと迷う 

設計のコツ 

タグ・フィルタ・保存など「整理の出口」を用意 

レスポンシブ方針 

列数を調整・読み順が崩れる前提で操作の手がかりを強くする 

計測指標 

スクロール深度・保存率・タグクリック率・回遊率・再訪率 

よくある失敗 

眺めるだけで終わり、行動に繋がらない 

メイソンリーは「見ているだけで楽しい」体験を作れますが、選ぶ・決めるには不向きです。だからこそ保存やタグといった“整理の出口”がないと、成果が生まれません。偶然性を保ちながら、行動へ移れる導線を用意すると価値が安定します。発見を行動に変えるのは、配置より出口設計です。 

 

2.9 横スクロール(Horizontal Scrolling Layout) 

横スクロールは、横方向に短い単位のコンテンツを並べ、発見や回遊を促す型です。縦の文脈を壊さずに「追加候補」を見せられるため、推薦枠や関連枠に相性が良いです。ただし、横に動くことが気づかれないと価値がゼロになります。見切れ・矢印・スナップなどの手がかりを強くし、触ったときに気持ちよく動く挙動を作ることで、自然に使われる導線になります。 

項目 

内容 

要点 

縦の流れを守りつつ探索枠を足す 

向いている用途 

カード列・動画レール・商品レール・ギャラリー・推薦枠 

ユーザーの認知支援 

気軽な候補閲覧・追加探索・回遊の継続 

代表コンポーネント 

レール・矢印・見切れ・スナップ・ページネーション・保存 

強み 

発見が増える・縦の文脈を保てる 

注意点 

気づかれない・縦スクロールと競合しやすい 

設計のコツ 

見切れ・矢印・スナップで「横に動く」手がかりを作る 

レスポンシブ方針 

モバイル中心で相性良・PCは矢印・ドラッグ両対応で気づきを補う 

計測指標 

レール内スクロール率・矢印クリック率・カードCTR・回遊率 

よくある失敗 

横が存在するのに誰も触らない 

横スクロールは、設計しないと「存在しても気づかれない」型です。見切れや矢印などの手がかりを強くするほど、探索枠として機能します。縦の主導線を守れる点は強力なので、ページの本筋を邪魔せず候補を増やしたい場面に向きます。挙動の気持ちよさは、意外と成果に直結します。 

 

2.10 スプリットスクリーン(Split-Screen Layout) 

スプリットスクリーンは左右に役割を持たせ、同時参照を成立させて比較・確認を画面内で完結させるレイアウトです。説明とビジュアル、入力と結果など、関係性が明確なほど理解が速くなります。ただし狭い幅では破綻しやすいため、主役・補助の序列と縮退(折りたたみ・段階表示)を先に決める必要があります。環境差があっても体験の一貫性を保てるかは、この“主従設計”で決まります。 

項目 

内容 

要点 

同時参照で比較・確認を完結させる 

向いている用途 

エディタ(入力・プレビュー)・LP(説明・ビジュアル)・比較画面 

ユーザーの認知支援 

参照と操作の往復削減・理解の即時化 

代表コンポーネント 

左右ペイン・リサイズ・折りたたみ・固定ヘッダ・プレビュー 

強み 

目的の同時達成・切り替え摩擦が少ない 

注意点 

スマホで情報が薄く見える・優先順位が崩れやすい 

設計のコツ 

狭い幅では主役を先に、片側は折りたたみ前提で設計 

レスポンシブ方針 

モバイルは縦積み・主役優先・補助はスライドやモーダルで提供 

計測指標 

プレビュー利用率・比較完了率・操作往復回数・完了時間 

よくある失敗 

どちらも主役にして結局どちらも読まれない 

スプリットは「同時に見る理由」があるときに最強になります。主従が曖昧だと、両方が中途半端になって理解が遅くなります。レスポンシブでは片側を捨てるのではなく、段階表示で“補助として残す”と体験が崩れません。同時参照の価値を守るには、縮退設計が不可欠です。 

 

2.11 サイドバーナビ(Sidebar Navigation Layout) 

サイドバーナビは左にナビゲーション、右に内容を置き、機能が増えても階層化しやすい構造を持ちます。利用が進むほど探索コストは下がりますが、分類・命名・並び順のルールがないと、項目が増えるほど発見性が落ちます。運用で増殖する前提を受け入れ、追加時に迷わないルールを固定することが、体験の安定につながります。検索に頼り切る前に、情報設計の持続可能性を確保するのが要点です。 

項目 

内容 

要点 

階層化で機能増に耐える 

向いている用途 

Webアプリ・管理画面・設定・業務ツール 

ユーザーの認知支援 

現在地把握・探索の短縮・学習による高速化 

代表コンポーネント 

カテゴリ・セクション・ピン留め・検索・最近使った項目 

強み 

拡張に強い・現在地が分かりやすい 

注意点 

メニュー増殖で探しにくくなる 

設計のコツ 

カテゴリ・ラベル・並び順を固定、頻出導線を上に寄せる 

レスポンシブ方針 

モバイルはドロワー化・検索と最近使った導線を強める 

計測指標 

メニュー探索時間・検索依存率・目的到達率・戻り率 

よくある失敗 

メニューが「全部入り」になり、結局検索頼りになる 

サイドバーは“追加できる”ことが最大の武器で、同時に最大の崩壊点です。分類ルールが曖昧だと、増えるほど体験が悪化します。頻出導線の固定と、命名・並び順の基準を先に決めると、拡張しても迷いが増えません。検索は補助であり、構造の代替にしない設計が長期で効きます。 

 

2.12 ダッシュボード(Dashboard Layout) 

ダッシュボードは複数の情報と操作を高密度に整理し、頻繁な業務を安定して支える構成です。拡張性と効率に優れる一方、初見では全体像が掴みにくく、学習負荷が高くなりやすいです。最初に触る導線を太くし、状態・現在地・次の行動を分かりやすくすることで、使い込むほど速くなる体験が成立します。重要なのは「全部見せる」ではなく、「最初は迷わない」状態を作ることです。 

項目 

内容 

要点 

多情報・多操作を整理し業務を安定化 

向いている用途 

管理画面・分析ツール・業務システム・設定画面 

ユーザーの認知支援 

状態把握・優先順位付け・反復作業の高速化 

代表コンポーネント 

KPIカード・アラート・クイックアクション・フィルタ・一覧 

強み 

拡張性・機能整理・作業効率 

注意点 

初見が難しい・密度が高すぎると疲れる 

設計のコツ 

初回導線を太く、頻出操作を前面に、段階的に深くする 

レスポンシブ方針 

重要KPIと頻出操作を優先表示・詳細は折りたたみで段階化 

計測指標 

タスク完了時間・頻出操作到達率・エラー率・再訪頻度 

よくある失敗 

メニューが増殖し探す時間が増える 

ダッシュボードは“密度”が価値ですが、密度はそのまま初見の負荷にもなります。入口(最初の一手)を太くするほど、学習の壁を下げられます。状態が見えると、判断が速くなり、作業の安心感も上がります。拡張前提の設計では、機能追加よりも「分類と現在地」の整備が効きます。 

 

2.13 マスターディテール(Master–Detail Layout) 

マスターディテールは一覧と詳細を同一画面に配置し、選択と編集を効率化するレイアウトです。往復操作が減り、比較しながら処理できるのが強みですが、選択中・編集中・未保存といった状態が不明瞭だと混乱を招きます。選択の強調、変更状況の明示、保存タイミングの固定が、体験の安定を決めます。効率が高いぶん、状態の説明責任が重い構造だと捉えるのがポイントです。 

項目 

内容 

要点 

一覧と詳細を同居させ往復を減らす 

向いている用途 

CRM・チケット管理・ファイル管理・設定 

ユーザーの認知支援 

対象の把握・編集の安心・比較しながらの判断 

代表コンポーネント 

一覧・詳細ペイン・選択ハイライト・未保存表示・保存バー 

強み 

作業効率が高い・一覧・詳細の行き来が少ない 

注意点 

状態が分からないと混乱(選択・未保存) 

設計のコツ 

選択強調・未保存表示・保存導線を固定する 

レスポンシブ方針 

モバイルは一覧→詳細の遷移に切替・状態表示は必ず持ち越す 

計測指標 

編集完了時間・保存失敗率・誤編集率・対象切替回数 

よくある失敗 

詳細を開いている対象が分からなくなる 

マスターディテールは“速い”からこそ、状態が曖昧だと一気に不安へ転びます。選択中の対象と未保存を明示すると、ユーザーの緊張が下がります。モバイルでは構造が変わっても、状態表示だけは途切れさせないのが重要です。効率設計は、安心設計とセットで成立します。 

 

2.14 オーバーレイ・モーダル中心(Overlay・Modal-Driven Layout) 

オーバーレイ・モーダル中心は文脈を保ったまま確認や軽い編集を行い、遷移の摩擦を抑えるレイアウトです。短時間の操作では流れを切らさない利点がありますが、入れ子が深くなると現在地が分からなくなります。軽い作業はモーダル、重い作業はページへ分離することで、文脈保持のメリットを安定して活かせます。閉じ方・戻り先・完了状態を明確にしないと、便利さが混乱に変わります。 

項目 

内容 

要点 

文脈を保持して軽作業を完結させる 

向いている用途 

軽い編集・詳細確認・補助入力・一覧からのクイック操作 

ユーザーの認知支援 

遷移摩擦の削減・流れの維持・判断の連続性 

代表コンポーネント 

モーダル・ドロワー・クイックビュー・閉じる・完了トースト 

強み 

文脈が切れにくい・遷移が減る 

注意点 

入れ子が深いと迷子・戻り先が不明になる 

設計のコツ 

モーダルは浅く、重い作業はページ化して分離 

レスポンシブ方針 

モバイルはフルスクリーンモーダル化・戻り先表示を強める 

計測指標 

モーダル完了率・キャンセル率・入れ子発生率・誤閉じ率 

よくある失敗 

何を閉じれば元に戻るか分からない 

モーダルは“短い作業”のための道具で、万能の作業場ではありません。深くしすぎると、現在地と戻り先が壊れて迷子になります。閉じる操作が明確で、完了が分かるだけで体験は安定します。文脈保持の強みを活かすには、使う範囲を決める設計が必要です。 

 

2.15 マルチパネル作業空間(Multi-Panel Workspace Layout) 

マルチパネル作業空間は複数の情報を同一画面で扱い、参照と操作の切り替えを減らして作業の流れを保つレイアウトです。自由度が高く効率を上げやすい一方、最初から要素を出しすぎると理解が追いつきません。初期状態は抑制し、必要に応じて広げられる段階設計にすると、習熟前後の体験差を小さくできます。リサイズ・固定・保存レイアウトなど、自由度を「制御可能」にすることが鍵です。 

項目 

内容 

要点 

同時参照で往復を減らし作業を高速化 

向いている用途 

IDE・制作ツール・分析・運用コンソール・重作業業務 

ユーザーの認知支援 

参照と操作の統合・作業フロー維持・中断耐性 

代表コンポーネント 

複数ペイン・タブ・リサイズ・ドッキング・レイアウト保存 

強み 

作業効率が高い・同時参照ができる 

注意点 

初見が難しい・情報過多になりやすい 

設計のコツ 

デフォルトは簡単に、拡張は段階的に、リサイズ・固定を用意 

レスポンシブ方針 

モバイルはモード切替・ペインを段階表示・核心操作を前面に 

計測指標 

タスク完了時間・パネル切替回数・レイアウト保存率・エラー率 

よくある失敗 

最初から全部見せて圧倒される 

マルチパネルは“上級者の速さ”を支える一方、“初見の圧倒”を生みやすい型です。初期レイアウトをシンプルにし、必要に応じて拡張できると体験が安定します。自由度が高いほど、デフォルトの導線と状態表示が重要になります。効率の源泉は、情報量ではなく往復の削減です。 

 

2.16 ヒーロー重視(Hero-Focused Layout) 

ヒーロー重視はファーストビューで提供価値を即座に伝え、次の行動へ導く構造です。見出し・ビジュアル・CTAが統合されているほど理解が速くなり、安心材料を併置すると行動の確度が上がります。ただしヒーローの訴求が強いほど、下段の判断材料が不足しやすく、条件や根拠を求める段階で不安が生まれます。価値提示と疑問解消を分離せず連続させると、CVの安定性が高まります。 

項目 

内容 

要点 

価値を即伝え、行動の入口を作る 

向いている用途 

サービス紹介・トップ・LP・キャンペーン 

ユーザーの認知支援 

初見理解・不安の低減・意思決定の確信 

代表コンポーネント 

見出し・サブコピー・CTA・信頼要素(実績・レビュー)・要点 

強み 

初見理解が速い・CTAが通りやすい 

注意点 

下段で判断材料が不足すると離脱する 

設計のコツ 

ヒーローで価値、下段で根拠・条件・比較を回収 

レスポンシブ方針 

モバイルは見出し短く・CTA明確・信頼要素は折りたたみで整理 

計測指標 

CTAクリック率・スクロール率・CVR・離脱率・滞在時間 

よくある失敗 

見た目は良いが何をすれば良いか分からない 

ヒーローは「全部説明する場所」ではなく「価値を掴ませる場所」です。上で価値と次アクションを明確にし、下で根拠と条件を回収すると不安が減ります。強い訴求ほど、疑問解消の導線を早めに置くとCVが安定します。見た目の強さは、構造の連続性があって初めて成果に変わります。 

 

2.17 Zパターン(Z-Pattern Layout) 

Zパターンは視線を要点からCTAへ自然に導き、短時間で理解と行動を結びつけるレイアウトです。情報が少ない場面では意図が伝わりやすい一方、要素が増えると導線が分散します。ファーストビューに役割を限定し、以降は読む構造へ切り替えることで効果が安定します。Zは絶対ルールではなく、誘導を作るための目安として扱い、情報量が増える場面では段階設計で回収します。 

項目 

内容 

要点 

短時間で理解→CTAへ誘導 

向いている用途 

LP・キャンペーン・短い訴求ページ・トップページ 

ユーザーの認知支援 

視線誘導・要点把握・次行動の明確化 

代表コンポーネント 

左上の価値・右上の補助・左下の根拠・右下のCTA 

強み 

CTAまでの導線が作りやすい・短時間で理解させやすい 

注意点 

長文と相性が弱い・情報が増えると崩れる 

設計のコツ 

Zはファーストビューに集中、下は「読む構造」で回収 

レスポンシブ方針 

モバイルは縦積みで順序を明示・CTAは画面内で見失わない配置 

計測指標 

ファーストビュー滞在・CTAクリック率・スクロール率・CVR 

よくある失敗 

見せたい要素を詰め込み視線が迷う 

Zは「上で決めさせる」ための短距離設計です。ファーストビューに役割を詰めすぎると、Zの強みである“誘導の明快さ”が消えます。上で価値とCTA、下で根拠と詳細に切り替えると、情報が増えても導線が保てます。視線モデルは目的ではなく、意思決定を支える手段として使います。 

 

2.18 モジュラー・ベントー(Modular・Bento Layout) 

モジュラー・ベントーはブロックの大きさと配置で情報の優先度を直感的に伝えるレイアウトです。余白と規則性が整うことで上質さが生まれますが、要素が増えると主題が曖昧になりやすいです。最重要メッセージを最大ブロックに固定し、他を補助として整理すると、理解と印象が両立します。視覚の強さに頼りすぎず、ブロックごとの役割を固定することが、実務的な分かりやすさを支えます。 

項目 

内容 

要点 

大小配置で優先度を視覚化する 

向いている用途 

主要機能紹介・プロダクトページ・特集・まとめ 

ユーザーの認知支援 

重要度の即時理解・視覚記憶・探索の短縮 

代表コンポーネント 

大ブロック(主題)・小ブロック(補助)・タグ・要点・リンク 

強み 

優先順位を視覚で示せる・整然として上質に見える 

注意点 

主役が不明だと「おしゃれだが分からない」になる 

設計のコツ 

最大ブロックに最重要、他は補助役に固定 

レスポンシブ方針 

モバイルは縦積みで主題を先頭固定・補助は段階表示 

計測指標 

主ブロックCTR・補助ブロックCTR・理解度指標(滞在・回遊) 

よくある失敗 

すべてを主役にして結局どれも刺さらない 

ベントーは“視覚で優先度を語る”設計なので、主役が曖昧だと価値が崩れます。最大ブロックに何を載せるかが、ページの理解速度を決めます。上質さは余白と規則性で作れますが、分かりやすさは役割の固定で作ります。見た目の美しさが、判断の助けになっているかを常に確認します。 

 

2.19 非対称(Asymmetric Layout) 

非対称レイアウトは配置の偏りで視線を集中させ、訴求点を強く印象づける構成です。表現力は高い反面、情報の役割が曖昧になると理解が追いつかず、行動が止まります。見出し・本文・CTAの意味的な位置づけを固定し、次の行動だけは迷わせないことで、視覚的な強さが体験として機能します。偏りは「意図」として使い、秩序は「構造」で守る、という分担が重要です。 

項目 

内容 

要点 

視線を一点に集め主題を強くする 

向いている用途 

ブランドLP・特集・キャンペーン・ビジュアル重視ページ 

ユーザーの認知支援 

注意の集中・印象形成・主題の即時理解 

代表コンポーネント 

大きい見出し・強いビジュアル・CTA・短い補足・余白 

強み 

目を引く・印象が残る・主役を作りやすい 

注意点 

分かりにくくなる・情報秩序が崩れやすい 

設計のコツ 

役割(見出し・本文・CTA)を固定し、偏りは意図として使う 

レスポンシブ方針 

モバイルは順序を固定・主役→補足→CTAの並びを崩さない 

計測指標 

主CTA率・主メッセージ理解(滞在・回遊)・離脱率 

よくある失敗 

目立つが何をすれば良いか分からない 

非対称は“目立つ”だけでは成功しません。目立つほど、ユーザーは「次に何をすればいいか」を強く求めます。役割の固定がないと、視覚の強さが混乱に変わります。偏りは表現として許しつつ、行動導線だけは構造として堅く守ると、強さが成果になります。 

 

2.20 フルスクリーン没入(Full-Screen Immersive Layout) 

フルスクリーン没入はUIを最小化してコンテンツへの集中度を高め、感情や世界観を強く印象づけるレイアウトです。ストーリー性のある体験では強い反面、戻れない不安が生じると没入は崩れます。常に戻れる導線や現在地の手がかりを残すことで、強さと安心を両立できます。没入を成立させる条件は、装飾よりも「復帰可能性」を担保する構造です。 

項目 

内容 

要点 

UIを減らして集中と感情価値を高める 

向いている用途 

メディア・特集・キャンペーン・ストーリー体験 

ユーザーの認知支援 

集中維持・感情没入・物語理解 

代表コンポーネント 

最小UI・閉じる・戻る・進む・現在地(章・進捗) 

強み 

集中できる・印象が残りやすい 

注意点 

戻れない不安・操作が迷子になりやすい 

設計のコツ 

戻る・閉じる・進むを常に迷わない場所へ固定 

レスポンシブ方針 

端末ジェスチャーと衝突しない配置・操作ヒントを短く提示 

計測指標 

完読率・離脱位置・戻る利用率・次章遷移率 

よくある失敗 

かっこいいが操作できず離脱される 

没入は「減らすほど強くなる」一方で、「減らしすぎるほど不安になる」体験です。戻る・閉じる・現在地の手がかりがあるだけで、ユーザーは安心して集中できます。世界観を強めたいほど、復帰可能性を確実にする必要があります。美しさは、使える安心の上に乗ったときにだけ価値になります。 

 

全体を俯瞰すると、レイアウトの違いは視覚的な差異ではなく、前提とする認知負荷モデルの差に由来していることが分かります。理解の連続性を重視する構造もあれば、比較や選択に伴う認知処理を圧縮する構造、操作や判断の往復を抑えて効率を高める構造、行動遷移を阻害しないよう意思決定点を整理する構造、一定の情報密度を前提に没入を支える構造もあります。重要なのは優劣ではなく、利用文脈や行動モデル、情報量、デバイス特性との適合性です。 

UI設計で本質的に効くのは、表層的な一貫性ではなく構造としての合理性です。レイアウト選択は、情報理解の順序と判断の発生点を定義する設計判断を内包します。この判断が明確であれば、変更や拡張が生じても体験の軸は崩れにくくなります。レイアウトを画面構成ではなく、認知と意思決定を制御する設計単位として捉えることが、品質を安定させる前提になります。 

 

3. UIレイアウトの用途別に見表 

目的が近いレイアウトでも、得意な体験は少しずつ違います。ここで大切なのは、最初から唯一の正解を当てにいくより、主目的から候補を2〜3に絞り、比較できる状態を作ることです。候補が少ないほど、議論が「好み」から「目的達成」へ移りやすくなり、決定が残りやすくなります。 

下の表は「主目的」から逆算して、まず候補を絞るための早見表です。選定後は、実際のコンテンツ量や運用の増え方を当てはめ、レスポンシブで破綻しないか、判断材料が不足しないかを点検すると、実装に入ってからの手戻りが減りやすくなります。 

主目的 

まず候補に入れる型 

併用すると強い補助 

読ませる・理解させる 

シングルカラム, Fパターン 

目次, 要点カード, 重要語の強調 

探す・比較して選ぶ 

グリッド, カード, メイソンリー 

フィルタ, ソート, バッジ, 保存 

操作・編集を速くする 

ダッシュボード, マスターディテール, マルチパネル 

状態表示, ショートカット, 下書き保存 

行動を促す(CV) 

ヒーロー, Zパターン, スティッキー 

FAQ, 実績, 料金・条件の明確化 

手順を完了させる 

ウィザード, タイムライン 

進捗, 途中保存, エラーの親切さ 

 

この早見表は、レイアウトを即断するための答え集ではなく、議論を前に進めるための起点です。主目的から候補を絞ることで、「どれが好きか」「流行っているか」といった主観的な話題から離れ、「この体験で本当に達成したい行動は何か」という軸に自然と会話を寄せられます。結果として、比較の観点が揃い、判断理由を後から説明できる決定になりやすくなります。 

また、最終的な成否を分けるのは、選んだレイアウトそのものよりも、選定後にどこまで具体的に検証できたかです。想定する利用シーンが増えたときに崩れないか、情報が増えたときに迷いを生まないか、運用フェーズで補助要素が過不足なく機能するか。実装前にこうした点を一つずつ潰しておくことで、レイアウトは「見た目の型」から「目的を支える構造」へと変わり、長く使われるUIになっていきます。 

 

4. UIレイアウトの実務での選定手順 

選定の最初にやるべきことは、「この画面で最初に達成してほしいことは何か」を一文で固定することです。ここが曖昧なままだと、レイアウトの良し悪しが感覚論になり、議論が長引きやすくなります。目的は複数あっても構いませんが、「最初に何を成立させたいか」だけは必ず一つに絞ります。この一文が、以降の判断の軸になります。 

たとえば「初回の人が価値を理解し、次の行動に進める」のか、「既存ユーザーが一覧から素早く処理できる」のかでは、画面の構造は大きく変わります。前者なら説明性と導線が主役になり、後者なら情報密度と操作効率が優先されます。主目的が固定されるほど、何を主役に置き、何を脇役に回すかが自然に決まり、要素同士の優先順位も揺れにくくなります。 

主役が決まると、レイアウトの議論は「好み」から「目的に合っているか」に切り替わります。なぜこの位置なのか、なぜこのサイズなのかを、主目的に照らして説明できるようになるからです。その結果、無駄な修正往復が減り、一定の納得感を持ったまま決定できます。決め切れる画面は、改善のスタートラインにも立ちやすくなります。 

次に考えるのは、短期の見た目ではなく「増えたときにどうなるか」です。半年後にカードが増えたらどこに収まるか、機能が増えたらナビゲーションはどう分けるか、ログやデータが増えたら検索やフィルタは必要になるか。最初から増える前提で点検しておくことで、後からの作り直しや判断のやり直しを減らせます。少し先の姿を想像してから決めることが、結果的に長期のUX安定につながります。 

 

おわりに 

レイアウトパターンを知る価値は、個々の型の名称や分類を覚えることそのものではなく、画面の目的に適合する構造を短時間で選択できる判断力を獲得する点にあります。画面上でユーザーにとって中心となる行為が、情報の理解なのか、対象の探索なのか、要素同士の比較なのか、あるいは操作や意思決定なのかを最初に固定することで、検討すべきレイアウトの範囲は自然に限定されます。この前提が共有されているだけでも、設計の議論は感覚論に流れにくくなり、判断のスピードと再現性が大きく向上します。 

加えて重要なのは、現在の情報量や機能構成だけを基準にせず、運用が進んだ後の状態を前提として構造を選ぶことです。プロダクトは時間とともに要素が増え続けるため、初期段階で無理のあるレイアウトを選んでしまうと、後からの追加や変更が全体の秩序を崩しやすくなります。情報や機能が増えても構造が破綻しない型を選択できている場合、体験は長期的に安定し、結果としてユーザーの理解や操作も積み重ねやすくなります。 

レイアウトが安定しているプロダクトでは、コピーの改善や新機能の追加といった施策の効果が表れやすくなります。構造が整理されていることで、どの変更がどの行動に影響しているのかを把握しやすくなり、改善結果の解釈も明確になります。その結果、仮説と検証の往復が速くなり、部分的な調整を積み重ねながら全体の品質を引き上げていく運用が可能になります。 

設計判断に迷った場合は、まず画面の主目的を一文で言語化し、その目的が複数のデバイス環境でも成立するかを確認したうえで、将来的に要素が増えても秩序が維持できるかを検討します。レイアウトが決まると、次にどこを改善すれば効果が出やすいかが見えやすくなり、検証も局所的かつ迅速に進められます。レイアウトを単なる見た目の調整対象ではなく、体験を安定させる骨格として扱うほど、UXは継続的に強化されていきます。 

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