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UI設計で情報過多を防ぐには?迷わせない情報設計の考え方

UI設計で情報過多を防ぐには?迷わせない情報設計の考え方

UIの「情報過多」は、情報量が多いこと自体が問題なのではなく、すべての情報が同じ強さで並び、優先順位や段階が設計されていないことで発生します。ユーザーは画面を「読む」ためではなく、購入・申請・検索・作成といった目的を達成するために使っています。そのため情報の扱い方が崩れると、判断が止まり、操作が滞り、ミスや離脱が増えていきます。とくにECや業務ツールのようにタスク完了が価値となるプロダクトでは、完了率・離脱率・問い合わせ数に直結します。

本記事では、情報過多という「結果」ではなく、その背後にある「原因」に焦点を当てます。優先順位、分類、段階表示、注意表示の型といった設計要素を整理し、情報が多くても迷わず進めるUIを実務視点で解説します。あわせてレビュー時に使えるチェック項目も提示し、「足し算で崩れるUI」を「増えても崩れないUI」に戻すための基準として活用できる形にまとめます。 

1. UI設計の情報過多で起きる問題 

UIの情報量が多いこと自体は問題ではなく、課題は情報が同じ強さで並び、優先順位や視線の流れが設計されていない点にあります。ユーザーは読むためではなく目的を達成するためにUIを使うため、情報過多は判断停止や操作停滞、ミス増加といった摩擦を生み、EC業務ツールのようにタスク完了が価値となるプロダクトでは離脱率や完了率、問い合わせ数に直結します。 

以下では、情報量が多いUIで起きやすい問題を整理し、どの症状がどの失敗につながるのかを明確にします。重要なのは情報の多さそのものではなく、意思決定の流れを止めている箇所を見極めることです。 

 

1.1 ユーザーが「どこを見ればいいか」分からない 

重要情報と補足情報が同じ強さで並ぶと、視線が散り、判断が遅くなります。とくにECや申込み画面では「価格・送料・納期・返品」「入力の必須条件」「次に押すボタン」といった「意思決定の核」が埋もれやすく、迷いがそのまま離脱につながります。ユーザーは画面に入った瞬間に「何を見れば前に進めるか」を探しますが、情報の強弱がないと、探す行為そのものが負担になります。 

さらに厄介なのは、ユーザーが「探し方」を学習できないことです。重要情報の場所が画面ごとに違う、見出し階層が曖昧、強調が乱立していると、ユーザーは毎回「読み直し」を強いられます。結果として「この画面は面倒」「時間がかかる」という体験が積み上がり、操作に対する抵抗感が増えます。情報量が原因というより、情報の優先順位が設計されていないことが根本問題です。 

 

1.2 選択肢が多すぎて決められない 

項目数が多い、フィルターが多い、メニューが深いなどの状態では、ユーザーは比較の途中で疲れます。選択肢が増えるほど「これも見ないと損かもしれない」という心理が働き、確認範囲が膨らみます。その結果、選ぶための行動が増えすぎて、判断が止まり、「とりあえず戻る」「あとでやる」が起きやすくなります。これはユーザーの意思が弱いのではなく、設計側が「考える負担」を増やしている状態です。 

加えて、選択肢の優先順位が示されていないと、ユーザーは「どれを先に見ればいいか」で詰まります。たとえばECなら「価格帯→到着日→在庫→レビュー」のように、現実的制約が強い順に見たい人が多いのに、UIがその順序を支えないと迷いが増えます。選択肢を増やすほど便利になるのではなく、選択肢を整理し「最初に見るべき軸」を提示できるほど意思決定は速くなります。 

 

1.3 読まれるべき注意が埋もれる 

重要な条件(料金、期限、同意事項、キャンセル条件など)が長文説明や装飾の中に埋もれると、トラブルや不満の原因になります。ユーザーは全文を読まない前提で行動するため、「重要事項が読まれない設計」は、時間差で必ず事故になります。とくにチェックアウトや申込みのような領域では、要点が伝わらないだけで「想定と違った」「聞いていない」というクレームに直結します。 

事故が起きると、CS問い合わせや返金・返品対応が増えるだけでなく、「だまされた」と感じさせることで信頼を失います。これは金額の大小ではなく「透明性の欠如」が問題です。重要事項は情報量を増やすのではなく、要点を先に短く提示し、詳細はリンクで補完する形が有効です。読ませるより「見ただけで分かる」設計にするほど、トラブルは減り、ユーザーの納得感も上がります。 

 

1.4 画面が「説明書」になり、操作が進まない 

情報を全部載せようとすると、UIが説明中心になり、ユーザーは「読む」ことに疲れて行動が止まります。とくにフォームやチェックアウトのように、ユーザーが早く完了したい場面では、文章量が多いほど「やる気」が削られます。結果としてスクロールが増え、入力が後回しになり、途中離脱が発生しやすくなります。 

また、説明が増えるほど「自分で理解して進める」負担が増え、操作のテンポが崩れます。ユーザーは本来、目的達成(購入・申請・予約)に集中したいのに、UIが読解を要求すると、体験の主役が「行動」から「読み取り」にすり替わります。対策は説明を減らすだけではなく、必要な説明を「必要な瞬間」にだけ出すことです。ツールチップ、段階表示、要点の折りたたみなどで、行動を邪魔しない情報提示にすると進みやすくなります。 

 

1.5 認知負荷が上がり、入力ミス・誤操作が増える 

情報量が多い画面では、ユーザーの注意資源が分散し、入力や選択の精度が落ちます。フォームに補足説明や注意書きが多すぎると、「どれが必須か」「何が条件か」「どこがエラーか」が分かりにくくなり、誤入力が増えます。さらに、誤入力が増えるほどエラー復旧が発生し、ストレスが増え、完了率が下がります。 

この問題は「ユーザーが注意深くない」ではなく、UIが注意を奪っていることが原因です。人は同時に多くを処理できないため、入力中に読むべき情報が多いほどミスが増えます。解決の方向は、入力に必要な情報だけを近くに置き、長い説明は折りたたむことです。エラー表示も「どこが」「なぜ」「どう直すか」が一目で分かる形に揃えると、認知負荷が下がり、結果として入力精度と完了率が改善します。 

 

1.6 重要導線(CTA)が弱くなり、次アクションが止まる 

情報が多い画面では、ボタンや次アクションが情報の海に埋もれます。主CTAが目立たない、補助CTAが同じ強さで並ぶ、次に何をすべきかが分からない状態になると、ユーザーは行動を中断しやすくなります。特に「購入」「申し込み」「保存」などの重要行動は、判断が固まった瞬間に押せる位置にないと、熱量が冷めます。 

また、CTAが弱いと「読んだけど結局どうするの?」という感覚が残り、体験が未完了になります。これは情報が不足しているのではなく、行動設計が不足している状態です。対策は、主CTAを1つに絞り、強調度を明確にし、補助行動は控えめに扱うことです。さらに、CTAの近くに判断材料(価格・総額・納期など)を集めると、迷いが減り、押す確率が上がります。 

 

1.7 表示が重くなり、体感速度が落ちる 

情報過多は、文章量だけでなく、画像・コンポーネント・ウィジェットの増加にもつながり、表示が重くなります。読み込みが遅いとユーザーは不安になり、「止まったのか」「失敗したのか」を疑い、戻る・再読み込み・離脱が増えます。速度は「目に見えない品質」ですが、実際には体験の土台として非常に強く効きます。 

さらに、遅延が起きると「UIが難しい」ではなく「サイトが信用できない」という印象に変わりやすい点が厄介です。特に決済や個人情報入力前後で遅いと、ユーザーはリスクを感じて止まります。対策としては、情報を詰め込みすぎない設計に加えて、待ち時間の見せ方(スケルトン、段階表示、処理中の明示)を整えることが重要です。速さを上げるのが理想ですが、少なくとも「何が起きているか」が見えるだけで体感は改善します。 

 

2. UI設計で情報過多が起きる原因 

UIの情報過多は「情報が多いから起きる」というより、情報の出し方と整理の仕方が崩れた結果として起きます。必要な情報を増やしたくなる背景には、問い合わせを減らしたい、誤解を防ぎたい、比較材料を揃えたい、といった合理的な理由があります。ただし、その追加が「優先順位なし」「分類がズレている」「段階がない」状態で積み重なると、ユーザーは読むほど迷い、判断が止まるUIになってしまいます。 

ここでは、UI設計で情報過多が起きる典型原因を8つに整理します。原因を特定できると、やるべきことは「削る」ではなく「強弱・分類・段階・配置」を整えることだと見えてきます。情報過多は症状であり、根本原因は情報設計と意思決定導線の設計不足にあります。 

 

2.1 優先順位が決まっていない 

何が最重要かが決まっていないと、すべての情報が同じ強さで並びます。ユーザーの視線は「強いもの」に引っ張られるのではなく、画面全体に散り、結局どこから読めばいいか分からない状態になります。特に意思決定が必要な画面(料金、申込み、購入)では、重要度の違う情報が同列に置かれるだけで、判断が遅れ、離脱理由が増えます。 

情報過多の本質は情報量そのものではなく「強弱がないこと」です。主情報(結論と判断材料)と補足情報(安心材料・例外条件)を分け、強調の設計で「読む順番」を作らない限り、追加した情報は価値ではなくノイズとして作用します。優先順位が曖昧なUIは、説明を増やすほど混乱が増える構造になりやすい点が最大の落とし穴です。 

 

2.2 「分類の軸」がユーザーとズレている 

社内都合のカテゴリ、部門用語、商品コード、運用の区分で整理すると、ユーザーは情報を見つけられません。ユーザーは自分の目的(比較したい、失敗したくない、条件を確認したい)で探しますが、分類軸がそれと一致しないと、探すためのコストが急に上がります。探せない体験は「分かりにくい」という印象に直結し、読む気力を削ります。 

そして典型的な悪循環が起きます。「見つからないから、画面のあちこちに追加で載せる」「質問が来たから、注意書きを追記する」といった対症療法が積み重なり、情報量が増えても“探しにくさ”は改善しません。分類のズレを直さずに情報を足すほど、画面は厚くなるのに体験は軽くならない、という状態に入りやすくなります。 

 

2.3 同時に見せすぎている(段階がない) 

初心者もリピーターも、比較中の人も購入直前の人も、同じ情報量を同時に見せると過多になりやすいです。ユーザーが必要としている情報はフェーズで変わるのに、すべてを一画面で完結させようとすると、読む量が増え、判断に必要な要点が埋もれます。「今はこれだけでいい」という段階設計がないと、UIは説明書に近づき、操作が前へ進みません。 

段階がないUIは、結果としてユーザーに「自分で取捨選択する負担」を押し付けます。読むべき情報を選ぶ作業が増えるほど、体験は疲れやすくなり、「あとでやる」「戻る」のような保留行動が増えます。段階設計は情報を減らすことではなく、必要なタイミングで必要な情報だけを前面に出す、体験のテンポ設計です。 

 

2.4 不安を消す情報が散らばっている 

送料、返品、保証、納期、問い合わせ先などの不安解消情報が散らばっていると、ユーザーは「探し回る」行動になります。探す行動は認知負荷が高く、しかも探しても見つからないと不信に変わりやすいです。結果として、ユーザーは購入や申込みの直前で止まり、「確認できないからやめる」という判断を取りがちになります。 

この状況を恐れて、運用側が「全部ここに書く」方向に寄ると、画面はさらに重くなります。しかも散らばりを解消せずに追記を続けると、同じ情報が複数箇所に重複し、更新漏れや矛盾が起きて信頼を落とす要因にもなります。不安解消は情報量で解決するのではなく、「判断が起きる場所の近く」に要点を集約し、詳細は一貫した導線で参照できる構造にすることが本質です。 

 

2.5 「例外条件」を全部載せようとする 

情報過多を加速させる大きな要因が、例外条件の増殖です。キャンペーン条件、対象外地域、併用不可、在庫の例外、配送の制約など、運用が複雑になるほど例外は増えます。それ自体は避けられないことが多いですが、例外を“全面表示”で処理しようとすると、画面は一気に説明文だらけになります。 

例外は「全員に一律で見せる」より、「該当する人にだけ適切なタイミングで見せる」ほうが体験が軽くなります。条件に応じて表示を出し分ける、要点だけ出して詳細へ逃がす、警告を状態として表示するなど、例外を運用で増やしてもUIを壊さないための設計が必要です。例外を載せる設計は簡単ですが、載せ続けるほどUXは確実に重くなります。 

 

2.6 重要情報が「どこにも固定されていない」 

価格、総額、納期、主要CTAなどの重要情報が、スクロールやタブ切替で見失われると、ユーザーは何度も戻って確認する必要が出ます。この「戻り・再確認」が増えるほど、体験は疲れ、情報量が多いほど負担が増大します。情報が多いこと自体より、重要情報が“常に見える状態”になっていないことが原因になるケースは多いです。 

その結果、ユーザーに見失わせないために、同じ情報を複数箇所へ重複表示しがちになります。しかし重複は更新漏れや矛盾の温床になり、長期的には信頼を落とします。重要情報は「固定表示」「サマリ枠」「ステップ内の再提示」などで見失いにくくし、重複による運用品質の崩れを防ぐことが、情報過多を抑える実務的な解決策になります。 

 

2.7 計測が弱く「足す」しか選べない 

どこでユーザーが迷っているかが分からないと、運用は「とりあえず説明を足す」方向に収束しやすくなります。問い合わせが来たから追記、レビューで誤解があったから追記、離脱が増えたから注意書きを増やす、といった形で、改善の手段が“追加”だけになります。これが積み重なると、情報過多は構造的に進行します。 

計測が整うと、足すべき箇所と整理すべき箇所が分かれます。どの要素が読まれていないか、どこで戻りが発生しているか、どの入力で詰まっているかを把握できれば、「足す」より「配置」「見せ方」「段階化」で解決できるケースが増えます。情報過多は、計測不足が原因で“設計の選択肢が狭まった結果”として起きることが多いです。 

 

2.8 関係者が多く、情報が「全部入り」になりやすい 

関係者が増えるほど、UIは「この情報も載せたい」の集合になりやすいです。法務は免責を、CSは問い合わせ削減の情報を、マーケは訴求を、開発は制約を、というように、それぞれ合理的な要求が積み上がり、結果として画面が“全部入り”になります。ここで優先順位を決める責任がないと、情報は削れず増え続けます。 

この問題はデザインの工夫だけでは解決しにくく、意思決定ルールが必要です。誰のために、どのフェーズで、何を最優先するかを定義し、要点はUIに、詳細は別導線に、という合意を作る必要があります。情報過多は「追加したい要求」が悪いのではなく、要求を体験として整理・配分するプロセスがないことから生まれます。 

 

情報過多が起きる原因は、情報が多いことそのものではなく、優先順位・分類・段階・配置・意思決定ルールが欠けたまま、追加だけが積み重なることです。特に「探せない」「迷う」「不安になる」状態は、情報を増やすほど悪化しやすく、結果としてUIが説明書化し、ユーザーの行動が止まります。つまり情報過多は、UIの密度の問題ではなく、体験の設計不足として表れます。 

改善では、まず原因を特定し、「強弱を作る」「分類軸をユーザーに合わせる」「段階的に見せる」「不安情報を集約する」「例外をテンプレ化する」といった再設計を行います。情報を減らすことは手段の一つですが、最重要なのは意思決定の流れを回復させることです。情報が多くても、設計が整っていれば、ユーザーは迷わず進めます。 

 

3. UI設計における情報過多の防ぎ方と伝わる設計のポイント 

情報過多を防ぐコツは「情報を減らす」より先に、「迷わせない順番で出す」ことです。必要な情報まで削ってしまうと、逆に不安が増えて離脱や問い合わせが増えます。重要なのは、ユーザーが今いるフェーズで必要な情報だけを“強い形で”見せ、詳細は“必要な人だけ”が取れる構造にすることです。 

ここでは、UI設計で情報過多を防ぐための考え方を6つに整理します。ポイントは、主行動の固定・情報の強弱・段階表示・グルーピング・短文化・注意表示のルール化です。これらをセットで適用すると、情報量を増やさずに「判断と操作が前へ進む」画面に寄せられます。 

 

3.1 まず「ユーザーの次の行動」を1つ決める 

画面の目的が曖昧だと、情報は無限に増えます。最初に「この画面でユーザーがやるべき行動」を1つに固定し、それ以外は補助に落とします。主行動が複数あるUIは、どれを優先すべきか判断が必要になり、結果として迷いが発生します。 

実務では、主行動を固定すると「載せるべき情報」も自然に絞れます。たとえば商品詳細なら「カートに入れる」、申込みなら「必要情報を入力して次へ」などです。主行動の周辺に判断材料だけを集めると、説明文を増やさずに完了率が上がりやすくなります。 

主行動の固定チェック 

観点 

良い状態 

悪い状態 

主CTA 

1つが明確 

同じ強さが複数 

補助導線 

目立ちすぎない 

主CTAと競合する 

情報配置 

主行動の近くに判断材料 

あちこちに散在 

 

3.2 情報に強弱をつける(主・従・補足) 

同じ文字サイズ・同じ密度で並べないことが最重要です。情報が多く見えるのは、量ではなく強弱がないことが原因になりがちです。ユーザーは「どれが重要か」を探す作業を強いられ、判断が遅れます。 

情報を「主・従・補足」に分けると、読む順番が自然に決まります。主情報だけを追えば行動でき、従情報で比較が進み、補足で不安が潰せる構造になるため、情報を削らずに認知負荷を下げられます。 

主・従・補足の目安 

  • 主:判断に必須(価格、手順、主要CTA、合計金額、納期の要点) 

  • 従:比較を助ける(仕様、条件、オプション、レビュー要約) 

  • 補足:詳細(FAQ全文、規約全文、注意事項の詳細、例外条件の網羅) 

 

3.3 「段階表示」で一度に見せない 

詳細は折りたたみ、モーダル、詳細ページに逃がし、必要な人だけが開ける設計にします。最初から全部見せると、読む前に疲れて「とりあえず戻る」「あとで見る」が増えます。段階表示は、情報を隠すのではなく「必要になるタイミングまで出さない」設計です。 

段階表示が効くのは、初心者とリピーターが同じ画面を使う場面です。初心者は要点だけで迷わず進める、必要になったら深掘りできる。リピーターは要点を一瞬で確認してすぐ行動できる。この両立ができると、情報量が増えてもUIが重くなりにくくなります。 

段階表示のパターン例 

手段 

向いている情報 

注意点 

折りたたみ(アコーディオン) 

FAQ、注意事項、仕様の詳細 

見出しだけで内容が推測できる必要 

モーダル 

用語説明、返品条件の要点+詳細 

閉じた後に迷子にならない導線 

詳細ページ 

規約全文、技術仕様、マニュアル 

要点は元画面に残す 

 

3.4 グルーピングで「塊」にして認知負荷を下げる 

情報は単体で並べるほど読みにくくなります。意味の近い情報を塊にし、見出しを付けると、探すコストが下がります。ユーザーは文章を精読するのではなく「探して確認」することが多いため、塊があるだけで体感の分かりやすさが上がります。 

グルーピングのポイントは「ユーザーの疑問単位」でまとめることです。たとえばECなら「価格と総額」「配送と納期」「返品と保証」「仕様とサイズ感」のように、判断が起きる論点で固めます。分類軸がユーザーとズレると、グルーピングしても探せず、情報過多が再発します。 

 

3.5 表現を短くする(文章で解決しない) 

UIで文章が増えるのは、設計で解決できていないサインです。文章を増やすほど読まれなくなり、重要な注意まで埋もれます。基本方針は「短くして、必要なら補助する」です。 

短文化の代替手段として、例、ラベル、状態表示を使うと迷いが減ります。たとえば「入力してください」と書くより、入力欄に例を置く。長文注意より、条件を箇条書きにして見出しで示す。文章を削ることが目的ではなく、「読まなくても分かる」状態に寄せるのが狙いです。 

短文化の置き換え例 

  • 長文説明 → 箇条書き+見出し 

  • ルール説明 → ラベル(例:「返品可:30日」) 

  • 操作説明 → 状態表示(例:「保存済み」「処理中」) 

  • 注意喚起 → 1行要点+「詳細を見る」 

 

3.6 例外と注意は「目立たせる場所」を固定する 

重要注意が毎回違う場所にあると見落とされます。注意・エラー・条件は表示ルールを固定し、「見れば分かる場所」を作ることが有効です。場所が固定されるとユーザーは学習でき、探すコストが下がります。運用側も「どこに書くか」で迷わなくなり、追記の結果として情報が散らばる事故を減らせます。 

特に、料金条件、返品条件、納期条件、同意事項のような“見落とすとトラブルになる情報”は、テンプレ化して毎回同じ位置・同じ形式で出すのが効果的です。例外は増えますが、表示ルールが固定されていれば情報過多になりにくく、重要な注意が埋もれにくくなります。 

注意・例外の表示ルール(例) 

種類 

置く場所の考え方 

目的 

料金・総額の注意 

価格/合計金額の近く 

後出し不信を防ぐ 

入力エラー 

該当入力欄の直下 

修正を最短化 

配送・納期の例外 

配送選択の近く 

期待値ズレを防ぐ 

同意事項 

主CTA直前(短く) 

見落とし防止 

 

情報過多は、情報が多いことより「強弱・段階・分類・固定ルール」が欠けたことで起きます。主行動を1つに固定し、主・従・補足で強弱を作り、段階表示とグルーピングで探しやすくし、文章は短文化して状態表示で補い、注意の場所を固定する。この流れで設計すると、情報を削らずに「迷わない」体験へ寄せられます。 

運用で情報は必ず増えます。だからこそ、増えても崩れない情報設計の型を先に作ることが、長期的に強いUIを作る最短ルートになります。 

 

4. UI設計で情報過多を防ぐ実務チェック 

UIの情報過多を防ぐには、「情報を削る」より先に「この画面でユーザーに何をしてほしいか」を固定する必要があります。目的が曖昧な画面ほど、関係者の要望が足し算され、結果として“全部入り”になりがちです。実務では、画面ごとに「次の行動」と「判断材料」を最小単位で定義し、そこから逆算して情報を配置するのが最も再現性が高い進め方になります。 

以下は、情報過多を予防するための実務チェックです。各項目は、レビュー時にそのまま使えるように「なぜ重要か」「満たせていないと何が起きるか」まで含めて整理しています。 

 

4.1 この画面の目的(ユーザーの次の行動)は1つか 

画面の目的が複数あると、UIは「何でもできる」代わりに「何をすべきか分からない」状態になります。主CTAが複数並び、説明も複数の文脈で増殖し、ユーザーは最初の数秒で迷い始めます。特にECや申込みのように目的が明確な体験では、迷いはそのまま離脱や先送りにつながりやすく、成果指標が落ちやすい構造になります。 

実務では、画面の目的を1つに固定し、主行動を明確にします。補助行動は「強調度を落として別位置に退避」させ、主行動の邪魔をしない状態にします。目的が1つに絞られると、必要な情報の範囲も自然に狭まり、説明や注意書きの増殖を止めやすくなります。 

 

4.2 重要情報と補足情報に強弱があるか 

情報がすべて同じ強さで並ぶと、ユーザーは「どれが重要か」を自力で判断する必要が出ます。結果として視線が散り、判断が遅れ、重要条件や要点が埋もれます。説明文や注意書きが増えるほど「読むべき箇所が見つからない」状態になり、最終的には「何も読まれない」方向に倒れます。 

強弱は、色や太字のような表面的強調だけでなく「情報の階層」で作ります。主情報は短く、即読性を高く置き、補足は折りたたみや詳細リンクへ逃がします。「重要情報が最初に目に入る配置」「補足は必要なときに開ける構造」を作ることで、情報量が多くても迷いにくい体験になります。 

 

4.3 初回ユーザーに不要な情報が混ざっていないか 

初回ユーザーは、用語や前提をまだ持っていません。そこに内部事情、例外条件、専門用語、上級者向け設定が混ざると理解の負担が急増し、「よく分からないから戻る」「あとでやる」が増えます。情報過多のダメージは、経験者より初心者に強く出るのが特徴です。 

実務では「初回で必要な判断材料」と「慣れてから必要になる詳細」を分けます。初回は「安心して次に進める最小セット」に絞り、例外や詳細は必要になった瞬間に開ける形にします。初回体験が軽いほど継続利用と学習が進み、結果として問い合わせも減りやすくなります。 

 

4.4 詳細は段階表示に逃がせているか 

情報を全部見せる設計は、読みやすさを犠牲にして完了率を落とします。特に規約・条件・詳細仕様を本文に詰め込むと、画面が「説明書化」し、ユーザーの行動が止まります。読む量が多いほど「理解しきれない不安」が増え、判断が先送りになりやすいのも実務で頻出するパターンです。 

段階表示の基本は「要点→詳細」です。最初に意思決定に必要な要点だけを短く提示し、必要な人だけが詳細を確認できる導線を用意します。折りたたみ、モーダル、ツールチップ、別ページなどで情報を分割し、「今必要な分だけ取れる状態」を作ると、情報量が多いサービスでも体験が重くなりにくくなります。 

 

4.5 注意・エラー・条件の表示位置が固定されているか 

注意書きや条件、エラーの位置が画面ごとに変わると、ユーザーは毎回探す必要が出ます。これは情報過多と組み合わさると特に致命的で、重要条件が埋もれやすくなり、誤解・クレーム・手戻りが増えます。さらに、エラーがどこで出るか分からないUIは操作の恐怖感を増やし、途中離脱を誘発します。 

実務では、注意・条件・エラーを「いつも同じ場所、同じ形式」で出すルールを固定します。たとえば、価格条件は価格の近く、入力エラーは該当フィールド直下、全体エラーは画面上部に集約、というように「型」を揃えます。表示位置が固定されるだけで探索コストが下がり、情報量が多くても迷いにくくなります。 

 

情報過多は、単純に“情報が多い”のではなく「目的が曖昧」「優先順位がない」「初回に不要な情報が混ざる」「段階表示がない」「注意・エラーの型が揃っていない」といった設計不備として表れます。上のチェックは、画面をレビューするときに“どこから直すべきか”を最短で見つけるための基準になります。 

これらの項目を満たすだけでも、ユーザーの迷いと不安が減り、完了率・CVR・問い合わせの改善につながりやすくなります。情報を増やす必要があるプロダクトほど、「見せる順番」と「見せ方の型」を先に設計しておくことが、長期的にUXを崩さないための最も強い守りになります。 

 

おわりに 

情報過多は「情報を削れば解決する」という単純な問題ではなく、目的の曖昧さ、優先順位の欠如、段階表示の不足、注意・例外の見せ方の不統一といった「体験設計の不足」として表れます。だからこそ改善は、まず「この画面でユーザーに何をしてほしいか」を1つに固定し、主情報と補足情報に強弱を作り、詳細は段階表示に逃がし、注意やエラーの表示位置と形式をテンプレ化する、という順番で進めるのが再現性が高いです。 

また、情報過多は運用で必ず再発しやすい領域でもあります。問い合わせ対応や法務要件、施策追加の要望は合理的で、放置すると「全部入り」へ戻ります。だからこそ、今回の実務チェック(目的の単一化・強弱・初回不要情報の排除・段階表示・注意表示の固定)をレビュー基準として運用に組み込み、追加要求を「足す」ではなく「配分する」判断に変えることが重要です。 

情報が増えても迷わないUIは、見た目の整理ではなく「意思決定の流れ」を守れる設計で成立します。強弱・段階・型を先に作っておけば、情報が増えるプロダクトでも、完了率・CVR・問い合わせの安定した改善につながりやすくなります。 

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