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Tencent、軽量かつ高性能なAIモデル「Hunyuan-A13B」をオープンソースとして公開

Tencent、軽量かつ高性能なAIモデル「Hunyuan-A13B」をオープンソースとして公開

2025年6月27日、Tencentは自社のHunyuanシリーズに属する最先端のAI基盤モデル「Hunyuan-A13B」のオープンソースバージョンを正式にリリースしました。このモデルはMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャに基づいて構築されており、総パラメータ数は800億、1回の推論ステップで使用されるアクティブパラメータ数は130億となっています。この設計により、高い性能を維持しつつ、リソース効率も優れたものとなっています。

 

ライセンスおよび使用制限 

Hunyuan-A13Bは「Tencent Hunyuan Community License」の下で配布されており、ほとんどの地域において研究および商用利用が無料で可能です。ただし、欧州連合、イギリス、および韓国における利用は除外されています。さらに、同モデルを用いたアプリケーションやサービスの月間アクティブユーザー数が1億人を超える場合には、Tencentから別途商用ライセンスを取得する必要があります。 

 

アーキテクチャと主な特徴 

MoE技術を活用することで、Hunyuan-A13Bは任意のタイミングでパラメータの一部のみをアクティブにします。これにより、より大規模な密集モデルに匹敵するパフォーマンスを発揮しながら、計算コストを大幅に削減できます。 

また、以下のような特徴を備えています: 

  • 最大256,000トークンのコンテキスト長への対応 

  • 長文ドキュメント分析、マルチターン対話、高度なAIエージェントに最適 

  • 「速い思考」と「遅い思考」の二重推論モードを搭載し、論理的推論や多段階意思決定に対応 

 

ベンチマーク性能 

ソース: https://github.com/Tencent-Hunyuan/Hunyuan-A13B 

Hunyuan-A13Bは、以下の主要ベンチマークにおいて優れた結果を示しています: 

  • MMLU(Massive Multitask Language Understanding) 

 スコア約88.17を記録し、Qwen3-A22Bなどの大型モデルと同等の性能を発揮。 

  • CMMLU 

 特に中国語タスクにおける多言語性能が際立つ。 

  • エージェント系ベンチマーク(BFCL-v3、τ-Bench、C3-Bench、ComplexFuncBench) 

 ツール使用、長文コンテキスト推論、多段階計画といった高度なタスクにおいて上位ランク。 

Hunyuan-A13B
写真:Tencent Hunyuan A13BのGithub

Hunyuan-A13B-Instrucも、数学・科学・エージェント分野など、複数のベンチマークにおいて非常に競争力のある性能を発揮しています。他の強力なモデルと比較した結果は以下の通りです。

Hunyuan-A13B-Instruct
写真:Tencent Hunyuan A13BのGithub

 

デプロイおよび推論サポート 

Tencentは、モデルの完全な重みファイルとともに、以下の推論フレームワークへの統合もサポートしています: 

  • TensorRT-LLM 

  • vLLM 

  • SGLang 

さらに、以下のような最適化にも対応: 

  • FP8およびInt4の量子化 

  • 自動プレフィックスキャッシング 

  • チャンクプリフィル 

性能テストでは、大規模バッチサイズで最大1,982トークン/秒の推論スループットを達成し、商用環境での運用にも十分耐える性能を証明しました。 

 

影響と応用の可能性 

Hunyuan-A13Bを高効率かつ寛容なライセンスでオープンソース化したことにより、Tencentは世界のオープンAIエコシステムへの重要な貢献者としての立場を築こうとしています。 

このモデルは、以下のような分野での利用が期待されます: 

  • インテリジェントアシスタント/チャットボット 

  • コード生成/コンテンツ要約 

  • ドキュメントQ&A 

  • エンタープライズ向け言語処理ツール 

特にアジア地域のスタートアップや研究機関、企業にとって、高性能かつインフラコストを抑えたソリューションとして非常に魅力的です。 

 

まとめ 

TencentによるHunyuan-A13Bのリリースは、高性能AIの民主化に向けた大きな一歩です。軽量なMoEアーキテクチャ、最大256Kトークン対応の長文コンテキスト、優れたベンチマーク結果などを備え、効率とパワーを兼ね備えたモデルとなっています。 

一部地域・スケールに基づく制限はあるものの、オープンソースライセンスにより、特にアジアの組織が先進的なAI機能を幅広い用途に活用できる環境が整いました。