Webアプリのスケーラビリティの限界を正しく捉える
Webアプリのスケーラビリティは、単に「落ちない」「速い」を目指す話ではなく、利用が増えるほど厳しくなる前提条件を、設計と運用で受け止め続ける話です。トラフィックや同時実行が増えると、共有資源への集中、外部依存の遅延、状態管理の偏りが、部分的な遅さとして現れ、やがて全体の品質を崩します。しかも限界は、CPUや台数の不足だけで決まらず、正しさの要求水準、ピークの扱い方、失敗時の縮退方針、観測と意思決定の仕組みといった「運用可能性」と結びついて固定化します。したがって、スケールできるかどうかは、アーキテクチャ単体ではなく、Web開発の総合力として現れます。
現場で議論が難航しやすいのは、表面に出る症状が「遅い」「不安定」「コストが高い」だけになり、原因が層をまたいで連鎖するからです。DB集中、状態の集中、外部依存、同期処理の肥大化、可観測性不足は、それぞれ単独で起きるよりも、同時に起きて相互に増幅します。ピーク時だけレイテンシが跳ね、リトライが増え、さらに負荷が上がり、障害対応が属人化する、といった崩れ方は典型です。ここで手段から入ると、増強や分割のような大きな選択肢に吸い寄せられやすく、根の集中や待ちの連鎖が残ったままになります。
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