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2025年のDX動向

2025年の日本のDX動向 :主要レポートの総合・分析

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、ここ数年で企業経営の中核的なテーマとなり、日本においても多くの業界で導入が進んでいます。 

本記事では、 IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

 ・DX動向2024 

 ・デジタルトランスフォーメーション調査2024の分析 

 ・DX動向2024(データ集) 

 

2024年レポートを基に、2025年の日本のDX動向を分析し、今後の展望を探ります。 

 

主要レポートの分析 

1. 「DX動向2024」IPA調査 

「DX動向2024」IPA調査
写真:IPA

 

「DX 動向 2024」は、日本におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展と課題を分析した報告書です。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」以降、日本企業のDXへの取り組みは増加しており、特に「全社戦略に基づくDX」の実施率が73.7%に達しています。しかし、サービス業や小規模企業の取り組みは依然として遅れており、課題が残ります。

 

調査結果によると、DXの成果を把握するための評価が不十分であり、企業のデジタルトランスフォーメーションの進捗状況は道半ばです。特に、CDO(Chief Digital Officer)を設置している企業では、成果の評価が進んでいることが示されています。DXの取り組みは、データの利活用やAI技術の導入、レガシーシステムの刷新といった技術的側面にも関連しており、特にデータ活用が進んでいる企業ほど成果を上げています。 

 

AI技術の導入は拡大していますが、専門人材の不足が課題です。生成AIの導入も進んでおり、企業の半数以上が導入または検討中ですが、利用管理のルールやリスク理解が不足しています。内製化の傾向も見られますが、人材確保や育成が課題となっています。 

 

「DX動向2024」IPA調査
写真:IPA

 

人材に関しては、DX推進に必要なスキルを持つ人材の確保が深刻な問題であり、特に「ビジネスアーキテクト」の不足が顕著です。企業は社内人材の育成や外部採用を進めていますが、魅力的な処遇の提示やスキル定義が不十分であることが課題です。

 

企業文化や風土の醸成も重要であり、成果が出ている企業は、情報共有や柔軟な働き方ができる環境を整備しています。今後の課題として、スキルに見合った仕事のアサインや報酬への反映が挙げられます。 

 

最後に、政府系のDX推進施策に対する認知度も高まっており、特に「情報処理技術者試験」や「DX推進指標」の活用が進んでいます。全体として、DXの推進は進展しているものの、企業は依然として多くの課題に直面しており、今後の取り組みが求められています。 

 

詳細については、「DX動向2024」IPA調査をご覧ください。 

 

2.「デジタルトランスフォーメーション調査2024の分析」IPA調査 

本資料は、2024年のデジタルトランスフォーメーション(DX)調査の結果をまとめたもので、主に日本の企業におけるDXの進展状況を分析しています。調査対象は東京証券取引所に上場する約3,800社で、344社からの回答が得られました。 

 

調査結果によると、DX銘柄企業や注目企業は、デジタルガバナンス・コード2.0に基づく取り組みが進んでおり、特に「KPIの設定」や「挑戦を促す仕組み」において、DX銘柄企業と未取得企業の間に顕著な差が見られます。 

 

しかし、企業間の取り組みの差は縮小しており、特にROE(自己資本利益率)においても、他の企業種で5%以上のROEを持つ企業が増加しています。 

 

デジタルトランスフォーメーション調査2024の分析
写真:IPA  

 

調査では、企業がDX推進に向けたビジョンを掲げている割合が高く、特にDX銘柄企業では96%がビジョンを開示しています。また、ビジネスモデルの設計やエコシステムの主導に関しても、DX銘柄企業は高い評価を受けています。 

 

さらに、DX推進のための戦略が具体化されている企業が多く、データとデジタル技術を活用した新規ビジネス創出や既存ビジネスの変革に取り組んでいることが示されています。 

 

一方で、サイバーセキュリティに関する取り組みも重要視されており、経営者がリスクを認識し、CISOなどの責任者を任命するなどの体制が整備されています。サイバーセキュリティリスクに対する計画や体制の構築も進んでおり、企業価値向上に向けたDX推進が取締役会で議論されています。 

 

この調査は、企業がデジタル技術を活用して競争力を高めるための重要な指針を提供しており、今後のDXの進展に期待が寄せられています。 

 

詳細については、「デジタルトランスフォーメーション調査2024の分析」IPA調査をご覧ください。  

 

3. 「DX動向2024(データ集)」  IPA調査 

この資料「DX動向2024(データ集)」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状や取り組み状況を分析したもので、特に日本企業におけるDXの進展を示しています。 

 

DXは、企業がビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革することと定義されています。調査によると、日本の企業は全社戦略に基づいてDXに取り組んでいる割合が増加しており、特に従業員規模が大きい企業での進展が顕著です。 

 

一方で、サービス業ではDXの取り組みが遅れていることが指摘されています。 

 

また、DXを推進するための人材の確保が重要な課題であり、特にビジネスアーキテクトやサイバーセキュリティに関する人材が不足しているとされています。 

 

さらに、企業文化や風土の変革もDXの成功に寄与する要素として挙げられ、成果が出ている企業では、社内の風通しや情報共有が良好であることが示されています。 

 

最後に、AIの導入状況やデータ利活用の進展も報告されており、特にデータ利活用が進んでいる企業はAIの導入も進んでいることが明らかになっています。このように、DXの取り組みは多岐にわたり、企業の成長に不可欠な要素となっています。 

写真:「DX動向2024(データ集)」  IPA調査
写真:IPA

 

詳細については、「DX動向2024(データ集)」  IPA調査をご覧ください。 

 

総合評価:2025年の日本のDX動向 

これまでのレポートを総合すると、2025年に向けて世界および日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)は以下のような特徴的な動向を示しています。 

 

1. 2025年の世界のDX動向 

グローバルにおいて、DXは引き続き企業競争力を決定づける重要な要素となります。企業は技術革新を加速し、AI、IoT、ブロックチェーン、クラウドなどの先端技術を幅広く活用することで、新しいビジネスモデルの構築を進めるでしょう。 

 

特にAI分野では、生成AIやディープラーニング技術の普及により、以下の点が注目されます。 

 

・自動化の深化

人手によるプロセスをさらに置き換え、より効率的なオペレーションを実現。 

・パーソナライズサービスの強化

顧客データを活用したよりきめ細やかなサービス提供が可能に。 

・エコシステムの進展

各業界での横断的な協力が進み、産業間の壁を越えた統合的な経済が形成される。 

 

また、環境への配慮もDXの重要な要素となり、持続可能性を目指した「グリーンDX」が多くの企業戦略に組み込まれると考えられます。特に欧州や北米ではカーボンニュートラル目標に向けた技術革新が進むと予測されます。 

 

2. 2025年の日本のDX動向 

日本においては、全社的なDX推進がさらに強化されると予想されます。政府や企業の積極的な取り組みにより、以下のような成果が期待されます。 

 

・AIとデータ活用の高度化

生成AIや予測分析技術の普及により、製造業や医療分野での効率性向上とコスト削減が図られる。 

・人材育成と雇用の変革

DXに必要なスキルを持つ人材の育成が急務であり、企業は研修プログラムや外部リソースを活用してこれを強化。特に、データサイエンティストやビジネスアーキテクトの需要が急増する見込み。 

・中小企業のDX推進

サービス業や中小企業での導入が遅れている現状を改善するため、政府支援が強化される可能性が高い。これにより、地域経済の活性化が期待されます。 

・社会全体のデジタル化

行政サービスのデジタル化や公共分野でのAI利用が進み、市民生活の利便性が向上。 

 

サイバーセキュリティに関する取り組みも強化され、企業や行政のリスク管理能力が向上することで、デジタル化の信頼性がさらに高まると予測されます。

 

結論:2025年に向けた日本のDXの方向性 

2025年に向けたDXの進展は、企業の成長戦略だけでなく、社会全体の基盤構築にも寄与する大きな変革となります。これまでの分析からも明らかなように、DXは単なる技術導入にとどまらず、企業文化の改革や人材育成、持続可能性の実現など、さまざまな側面での変革を伴います。 

 

特に日本では、全社戦略に基づくDX推進が大きな鍵となります。DXの成果を最大化するためには、単なる技術投資ではなく、以下の点を重点的に進める必要があります。 

 

  1. 人材の確保と育成:ビジネスと技術の両面でリーダーシップを発揮できる人材が成功のカギ。 

  2. 成果評価の強化:KPIの明確化とその達成状況の定期的な評価を実施することで、取り組みの方向性を修正。 

  3. 全社的な文化改革:柔軟で透明性の高い企業文化がイノベーションを加速させる。 

 

今後もDXが日本経済全体の成長を牽引する存在となることは間違いありません。しかし、目標を達成するには、企業、政府、教育機関が一体となって課題解決に取り組むことが必要です。 

 

貴社のDX推進をお考えの際は、ぜひ弊社のDX専門知識をご活用ください。