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Shopify B2Bとは?機能・料金・B2Cとの違い・導入方法を徹底解説

Shopify B2Bとは、企業が別の企業に商品を販売するための法人向けEC機能です。取引先ごとに異なる商品、価格、最低注文数量、支払期限、配送条件などを設定し、これまで電話、メール、FAX、表計算ファイルで処理していた卸売業務をオンライン化できます。

一般消費者向けECでは、原則として同じ販売価格と購入方法がすべての顧客に表示されます。一方、企業間取引では、契約内容、購入量、販売地域、拠点、担当者の権限などによって取引条件が変わります。Shopify B2Bは、こうした法人取引特有の条件を、会社と拠点を中心とした顧客構造で管理できる点が特徴です。

現在のShopify B2Bは、Basic、Grow、Advanced、Shopify Plusで利用できます。ただし、作成できるカタログ数、会社や拠点へのカタログ直接割り当て、前受金、部分入金、マーケット別のストア表示など、一部機能にはプラン差があります。本記事では、2026年7月時点の公式仕様に基づき、Shopify B2Bの仕組みから導入方法、コードによる拡張まで詳しく解説します。

1. Shopify B2Bとは

Shopify B2Bを理解するには、単なる「卸売価格を表示する機能」と考えるのではなく、会社単位の顧客管理、法人別の商品公開、価格設定、注文、請求、権限管理を一つの管理画面で運営する仕組みとして捉える必要があります。

1.1 Shopify上で企業間取引を行う機能

Shopify B2Bとは、Shopifyの管理画面とオンラインストアを使って、企業が別の企業へ商品を販売するための機能群です。法人顧客を会社として登録し、その会社に所属する拠点や担当者を設定することで、取引先ごとに異なる購入環境を提供できます。

単に会員限定ページを作る方法とは異なり、価格、購入可能商品、通貨、支払条件、配送方法、税設定などを法人取引のデータと関連付けられます。そのため、法人顧客がログインした時点で、契約内容に対応した商品と価格を自動的に表示できます。

1.2 法人顧客ごとの取引条件を反映できる

企業間取引では、販売先の規模、年間契約額、販売地域、購入数量などによって条件が異なります。Shopify B2Bでは、カタログや会社ロケーションを利用し、法人顧客に合わせた商品構成、価格、支払条件、チェックアウト設定を適用できます。

例えば、同じ商品をA社には1個1,000円、B社には1個900円で販売する運用や、東日本支店と西日本支店で配送先や支払期限を変える運用が可能です。取引条件を顧客タグだけで判定する方法よりも、会社と拠点の構造に沿って管理しやすくなります。

1.3 一般消費者向け販売と同じ基盤を利用できる

Shopify B2Bでは、法人向け販売と一般消費者向け販売を同一ストアで運営する混合ストアと、法人向け販売だけを別ストアで運営する専用ストアを選択できます。販売商品や在庫を共有したい場合は混合ストア、ブランドや業務を完全に分離したい場合は専用ストアが候補になります。

一つのストアで両方を運営する場合でも、法人顧客は会社情報に関連付けて管理されます。カタログを利用すれば、法人にだけ公開する商品や価格を設定できるため、一般顧客と法人顧客に同一の商品ページを見せながら、表示内容を変える設計も可能です。

1.4 卸売業務をオンラインで自己完結させられる

従来の卸売では、営業担当者が注文書を受け取り、在庫と契約価格を確認してから、販売管理システムへ手入力するケースが少なくありません。Shopify B2Bでは、承認済みの法人担当者がログインし、設定された価格や数量条件を確認しながら、自分で注文できます。

注文受付を完全に自動化するだけでなく、注文を下書きとして受け取り、担当者が内容を確認してから確定する運用も選択できます。高額注文や受注生産品など、社内承認が必要な取引を残しながらオンライン化できる点も重要です。

1.5 利用できる料金プラン

2026年7月時点では、Shopify B2BはBasic、Grow、Advanced、Shopify Plusで利用できます。会社管理、拠点管理、数量ルール、数量別価格、支払期限、セルフサービス注文、Shopify Flowによる自動化など、多くの機能は全対象プランで提供されています。

一方、Basic、Grow、Advancedでは、法人向けマーケット全体に割り当てられる有効カタログは最大3件です。会社や会社ロケーションへカタログを直接割り当てる機能、無制限のカタログ、高度な前受金・部分入金機能はShopify Plusに限定されています。

2. Shopify B2Bで利用できる主要機能

Shopify B2Bには、顧客管理から価格設定、注文、請求、自動化まで、法人取引に必要な機能が用意されています。ここでは、導入前に把握しておきたい代表的な機能を紹介します。

2.1 会社と拠点の管理

Shopify B2Bでは、法人顧客を会社として登録し、その配下に会社ロケーションと会社担当者を設定します。会社は取引先となる法人、会社ロケーションは支店、店舗、営業所、倉庫などの購入単位、会社担当者は実際に注文する人物を表します。

同じ会社でも拠点ごとに配送先、請求先、支払条件、税設定、購入権限を変えられます。全国に複数店舗を展開する小売会社や、事業部単位で購買条件が異なる大企業との取引に適した構造です。

2.2 法人向けカタログ

カタログは、特定の法人顧客が購入できる商品と価格を定める機能です。商品全体へ一律の調整率を適用するだけでなく、商品やバリエーションごとに固定価格を設定し、公開する商品を限定できます。

例えば、代理店向けカタログには再販売用商品を掲載し、業務利用企業向けカタログには消耗品だけを掲載できます。法人顧客がログインすると、割り当てられたカタログに基づいて商品と価格が表示されます。

2.3 支払条件と掛け払い

会社ロケーションごとに、即時払い、後払い、支払期限などを設定できます。支払条件を設定すると、法人顧客はチェックアウト、注文確認画面、顧客アカウントなどで支払期限を確認できます。

既存の請求書払いをオンライン注文へ移行するときも、すべての顧客にクレジットカード決済を強制する必要はありません。契約済みの顧客には掛け払いを許可し、新規顧客には即時決済を求めるなど、取引信用に応じた運用が可能です。

2.4 数量ルールと数量別価格

数量ルールでは、商品の最低注文数、最大注文数、注文単位を設定できます。数量別価格では、一定数量以上を購入した顧客に対して、段階的に低い単価を適用できます。両方の機能は、個別に使うことも組み合わせて使うことも可能です。

ケース単位で出荷する商品なら注文単位を12個、最低注文数を24個に設定できます。さらに、50個以上で単価950円、100個以上で単価900円といった価格段階を設定すれば、注文数の入力ミスを防ぎながら大量購入を促進できます。

2.5 自動化、分析、外部連携

Shopify Flowを利用すると、法人注文へのタグ付け、担当者への通知、承認済み顧客への案内メール、新規会社申請の処理などを自動化できます。法人向け注文や会社データを条件として、管理業務を自動実行できる点が特徴です。

また、Shopifyの分析機能を使った法人売上の確認や、基幹業務システム、顧客管理システム、会計システム、商品情報管理システムとの連携も可能です。連携アプリに加えて、管理APIを利用した独自開発にも対応しています。

3. 会社・拠点・担当者を管理する仕組み

Shopify B2Bでは、一般消費者向けの顧客情報だけでは表現しにくい法人組織を、会社、会社ロケーション、会社担当者の階層で管理します。この構造を正しく設計することが、安定した法人向けEC運営の出発点です。

3.1 会社は取引先法人を表す

会社は、商品を購入する法人そのものを表すデータです。会社名や外部システム上の識別番号を保持し、その配下に複数の拠点と担当者を関連付けられます。

販売管理システムに得意先コードがある場合は、Shopify側にも対応する識別情報を保存しておくと、注文、請求、売上データを連携しやすくなります。会社名だけで照合すると表記揺れが起こるため、一意の番号を使う設計が安全です。

3.2 会社ロケーションは購入条件の単位になる

会社ロケーションは、支店、店舗、営業所、倉庫などの購入拠点を表します。請求先、配送先、税設定、チェックアウト設定、支払条件などを拠点単位で保持できます。

同じ法人の東京支店と大阪支店で、納品先、価格、支払期限が異なる場合でも、会社を重複登録する必要はありません。一つの会社に複数のロケーションを作成し、それぞれに必要な取引条件を設定します。

3.3 会社担当者を複数登録できる

一つの会社や拠点に複数の担当者を追加し、それぞれに購入権限を設定できます。担当者は通常の顧客情報と関連付けられ、会社を代表してログイン、商品閲覧、注文などを行います。

購買担当者、店舗責任者、経理担当者など、役割の異なる人物を同じ会社へ登録できます。担当者が退職した場合も、会社データを削除せず、その担当者の拠点アクセスだけを解除できます。

3.4 拠点ごとに担当者権限を変更できる

会社担当者には、注文のみを行える権限や、拠点の担当者管理まで行える管理権限を設定できます。複数拠点へ所属する担当者については、アクセス可能なロケーションを個別に選択できます。

本社の購買責任者には全拠点へのアクセスを許可し、各店舗の担当者には自店舗だけを許可するといった設定が可能です。権限を最小限にすることで、他拠点の価格や注文履歴が意図せず閲覧されるリスクを抑えられます。

3.5 法人アカウント申請を受け付けられる

Shopify Formsを利用すると、オンラインストア上に法人アカウント申請フォームを設置できます。申請が送信されると、会社、会社ロケーション、顧客情報が管理画面に作成され、運営者が内容を確認して承認または却下できます。

ただし、申請によって作成された会社は、初期状態では法人価格へのアクセスや注文が許可されません。審査後に手動で承認するか、Shopify Flowを使って条件に合う申請を自動承認する運用を設計します。

4. カタログと法人別価格の設定

カタログは、Shopify B2Bにおける商品公開と価格設定の中心です。取引先の区分、契約価格、販売地域、商品ラインなどに応じてカタログを設計すると、複雑な卸売条件をオンラインストアへ反映できます。

4.1 購入できる商品を法人ごとに変えられる

カタログには、法人顧客へ公開する商品と非公開にする商品を設定できます。同じストア内の商品であっても、割り当てられたカタログに含まれていなければ、その法人顧客には購入対象として表示されません。

代理店限定商品、業務用容量、地域限定商品、契約顧客専用部品などを一般顧客から分離できます。別の商品情報を重複登録するのではなく、既存の商品をカタログ単位で公開するため、商品管理の重複を減らせます。

4.2 一律の価格調整率を設定できる

カタログでは、基準価格に対して一定割合の価格調整を設定できます。例えば、すべての商品を通常価格の80%で提供する代理店向けカタログを作成すると、商品数が多い場合でも価格設定の作業を軽減できます。

ただし、商品によって原価率や契約条件が大きく異なる場合、一律の割合だけでは利益管理が難しくなります。その場合は、基本となる調整率を設定したうえで、特定の商品やバリエーションに固定価格を設定します。

4.3 商品別の固定価格を設定できる

カタログ内では、商品またはバリエーションごとに固定単価を設定できます。契約書で単価が確定している商品や、ブランドごとに掛け率が異なる商品を扱うときに適しています。

固定価格を利用する場合は、仕入価格や物流費の変更時に法人価格を更新する手順も決めておく必要があります。商品数が多いストアでは、CSVや外部システム連携を利用し、更新漏れを防ぐ運用が求められます。

4.4 複数カタログが適用される場合の価格

同じ会社ロケーションに複数のカタログが適用され、同一商品に異なる価格が登録されている場合、条件に応じて表示価格が決定されます。会社ロケーションへ直接割り当てたカタログと、法人向けマーケットのカタログでは、より具体的な条件が優先される場合があります。

複数カタログの同時適用は柔軟ですが、意図しない低価格が表示される可能性もあります。カタログ名、対象顧客、価格設定の責任者、適用期間を記録し、重複する商品価格を定期的に監査することが重要です。

4.5 カタログ数にはプラン差がある

Basic、Grow、Advancedでは、法人向けマーケット全体に割り当てられる有効カタログは最大3件です。Shopify Plusでは、法人向けマーケット用カタログを無制限に作成でき、会社や会社ロケーションへ直接割り当てられます。

取引先別に細かな契約価格を設定したい企業は、必要なカタログ数を導入前に算出する必要があります。顧客を三つ程度の価格区分へまとめられる場合は通常プランも候補になりますが、数十社へ個別価格を設定する場合はShopify Plusが現実的です。

5. 数量ルールと数量別価格の使い方

法人取引では、単品購入よりもケース、箱、ロット単位の購入が一般的です。数量ルールと数量別価格を適切に設定すると、誤注文を防ぎながら、購入量に応じた価格を自動表示できます。

5.1 最低注文数を設定する

最低注文数は、一度の注文で購入しなければならない最小数量です。商品またはバリエーションごとに設定でき、指定数量未満では有効な注文として処理できません。

物流上、24個未満では採算が合わない商品なら、最低注文数を24に設定します。商品ページには最低数量を明確に表示し、カートへ追加した後で初めて制限を知らせる設計は避けることが重要です。

5.2 最大注文数を設定する

最大注文数は、一度の注文で購入できる上限数量です。供給量が限られる商品や、一部の顧客による在庫の買い占めを防ぎたい商品に利用できます。

ただし、最大数量を低く設定しすぎると、大口顧客が必要数を購入できなくなります。通常注文の上限を設定し、それを超える注文については営業担当者への見積依頼へ誘導する方法が適しています。

5.3 注文単位を設定する

注文単位は、商品を何個ずつ購入できるかを定める設定です。注文単位を10にすると、10個、20個、30個という数量でのみ購入でき、15個や23個では注文できません。

商品バリエーションごとにルールが判定される点には注意が必要です。青色を5個、白色を5個購入して合計10個にしても、各色の注文単位が10個であれば条件を満たしません。

5.4 段階的な数量別価格を設定する

数量別価格では、一定数量以上を購入した場合の単価を段階的に設定できます。Shopifyの公式仕様では、一つの商品に最大10段階の価格区分を追加できます。

例えば、1個から49個は1,000円、50個から99個は950円、100個以上は900円と設定できます。営業担当者が注文ごとに値引額を計算する必要がなくなり、顧客も数量を変更しながら適用単価を確認できます。

5.5 数量ルールと価格の整合性を確認する

数量別価格の適用数量は、最低注文数より大きく、注文単位の倍数になるように設計する必要があります。最低注文数が20、注文単位が10の場合、価格区分を25個に設定すると購入可能数量と一致しません。

導入時には、主要商品について最低数量、最大数量、注文単位、価格区分を一覧化し、物流担当者と営業担当者の両方で確認します。システム上設定できる条件だけでなく、箱詰めや配送の実態と一致させることが重要です。

6. 決済・請求・注文承認の仕組み

企業間取引では、注文時の即時決済だけでなく、掛け払い、請求書払い、前受金、社内確認後の注文確定など、多様な処理が必要です。Shopify B2Bでは、会社ロケーション単位で注文と支払いの流れを設定できます。

6.1 支払期限を会社ロケーションへ設定する

支払条件は、注文代金をいつまでに支払うかを定める設定です。会社ロケーションごとに設定でき、法人顧客がオンラインストアから注文した場合にも適用されます。

既存取引先には月末締月末締め相当の後払いを許可し、新規顧客には即時決済を求めるなど、信用状況に応じた運用が可能です。支払条件を変更する際は、契約書や販売管理システムの設定との不一致を防ぐ必要があります。

6.2 注文を下書きとして受け付ける

会社または会社ロケーションのチェックアウト設定で、すべての注文を確認用の下書きとして送信させることができます。この場合、顧客が注文手続きを完了しても、その時点では通常の確定注文になりませh5

営業担当者は価格、数量、在庫、納期、配送方法などを確認し、問題がなければ注文を確定して請求書を送信します。受注生産品、高額商品、輸送条件の確認が必要な商品に適した運用です。

6.3 管理画面から法人注文を作成する

電話、メール、展示会、営業商談などで受けた注文は、管理画面から下書き注文として作成できます。法人顧客と会社ロケーションを選択すると、その拠点に設定された価格や支払条件を反映できま16

オンライン注文だけに限定せず、営業担当者が代理入力した注文も同じShopify上で管理できるため、受注経路ごとにデータが分散しにくくなります。購入注文番号も保存し、顧客側の発注書と照合できる状態にしておくと便利です。

6.4 前受金と残額を分けて請求する

対応プランでは、支払条件に前受金を設定し、注文時に一部を受領して残額を後日請求できます。顧客は前受金額と残額の支払期限を、チェックアウトや注文情報から確認できまw0

前受金、部分入金、出荷単位の支払請求などの高度な決済機能はShopify Plus限定です。受注生産や大型設備販売など、入金段階が複数ある事業では、必要な請求工程が標準機能で対応できるかを事前に確認します。

6.5 一時的な配送先を許可する

会社ロケーションには通常の配送先住所を登録できますが、チェックアウト設定によって、注文時だけ使用する一時的な配送先の入力を許可できます。入力された住所は、その注文にだけ適用されまh5

建設現場、催事会場、期間限定店舗、取引先倉庫などへ直送する企業に適した機能です。一方、配送先を固定しなければならない契約では、自由入力を許可せず、登録済み拠点だけを利用させます。

7. Shopify B2BとB2Cの違い

Shopify B2Bと一般消費者向け販売では、顧客、価格、注文量、支払い、意思決定の構造が異なります。ここでは、運営上の違いを項目別に比較します。

7.1 顧客管理の違い

Shopify B2Bでは、顧客を個人だけでなく、会社、拠点、担当者の関係として管理します。一般消費者向け販売では、一人の顧客が自分自身のために購入する構造が中心でw1

法人では、一人の担当者が複数拠点を代表したり、一つの拠点に複数の購入担当者が所属したりします。そのため、個人単位の顧客タグだけで法人組織を表現するより、Shopify B2Bの会社構造を利用した方が管理しやすくなります。

比較項目Shopify B2B一般消費者向け販売
顧客の単位会社、拠点、担当者個人
購入主体会社を代表する担当者顧客本人
複数拠点標準構造で管理可能通常は個別顧客として管理
権限設定拠点ごとに設定可能基本的に不要
契約情報会社や拠点と関連付ける個人情報と注文履歴が中心

7.2 価格設定の違い

一般消費者向け販売では、同じ商品に共通価格を表示し、キャンペーンやクーポンによって一時的に値引きする方法が中心です。Shopify B2Bでは、契約先や価格区分ごとにカタログを割り当て、継続的な法人価格を表示しま13

法人価格は、単なる割引ではなく、取引契約の一部です。購入量や販売地域によって異なる単価を適用する場合、キャンペーン用クーポンではなく、カタログと数量別価格を利用した方が管理しやすくなります。

比較項目Shopify B2B一般消費者向け販売
基本価格法人や区分ごとに変更可能原則として共通
契約価格カタログで継続管理通常は利用しない
数量別単価段階的に設定可能セット割引などで対応
商品公開法人別に制御可能一般公開が中心
値引き目的契約条件、取引量販売促進、キャンペーン

7.3 注文数量の違い

法人取引では、ケース単位、ロット単位、大量注文が多く、最低注文数や注文単位が重要です。Shopify B2Bでは、商品バリエーションごとに最低数、最大数、注文単位を設定できまw5

一般消費者向け販売では、1個から購入できる商品が多く、複雑な数量制限は購入率を下げる可能性があります。法人向けと一般向けを同一ストアで運営する場合は、法人顧客にだけ必要な数量条件が適用されるかをテストします。

比較項目Shopify B2B一般消費者向け販売
注文数量ケース、ロット、大量注文少量、単品購入
最低注文数商品別に設定可能通常は1個
注文単位箱数や梱包単位に対応1個単位が中心
最大数量在庫配分目的で設定可能不正購入対策などで設定
価格との関係購入量で単価が変化単価は一定の場合が多い

7.4 支払いと請求の違い

一般消費者向け販売では、注文時にクレジットカード、電子決済、代金引換などで支払う方法が一般的です。法人取引では、契約済みの支払期限、請求書、前受金、注文確認後の支払いが必要になりま13

Shopify B2Bでは、会社ロケーションへ支払条件を設定し、下書き注文や請求書を利用できます。ただし、特殊な与信審査や複雑な債権管理は、会計システムや外部サービスとの連携が必要です。

比較項目Shopify B2B一般消費者向け販売
支払時期即時、後払い、前受金など注文時の即時払いが中心
請求書重要必須でない場合が多い
注文確認担当者確認後に確定可能自動確定が中心
与信会社単位で考慮決済承認が中心
購入注文番号利用される通常は利用しない

7.5 購入意思決定の違い

法人購入では、商品を選ぶ担当者、注文を承認する責任者、請求を処理する経理担当者が異なることがあります。一般消費者向け購入では、購入者本人が選定と支払いを行うケースが中心です。

そのため、法人向けストアでは、価格だけでなく、仕様書、在庫、納期、最低数量、取引条件、注文履歴、再注文機能を分かりやすく提示する必要があります。購入担当者が社内説明に使える情報を用意することが重要です。

比較項目Shopify B2B一般消費者向け販売
意思決定者複数人になりやすい購入者本人が中心
購入期間比較的長い短い場合が多い
重視される情報仕様、価格、納期、契約条件商品価値、体験、レビュー
再注文定期的に発生しやすい商品特性による
購入目的業務利用、再販売、製造個人利用

8. 混合ストアと専用ストアの違い

Shopifyで法人向け販売を始める際は、一般消費者向け販売と同じストアで運営するか、法人専用ストアを作るかを決めます。後から変更すると会社、カタログ、テーマ、連携設定の再構築が必要になる可能性があるため、慎重な判断が必要でw4

8.1 管理画面の違い

混合ストアでは、一つのShopify管理画面で法人向けと一般消費者向けの注文、商品、在庫を管理します。専用ストアでは、法人向けに別のストアと管理画面を用意しまw4

同じ担当者が両方の販売を管理する場合は、混合ストアの方が作業を集約できます。部署、運用規則、会計処理、担当者が完全に異なる場合は、専用ストアの方が権限と業務を分離しやすくなります。

比較項目混合ストア専用ストア
管理画面一つ法人向けに別途用意
注文管理法人・一般注文を同じ画面で管理法人注文だけを管理
担当組織同じチームに向く別チームに向く
運用負担集約しやすいストアごとの管理が必要
データ分離条件による分離ストア単位で分離

8.2 在庫管理の違い

混合ストアでは、法人向け販売と一般消費者向け販売で在庫を共有できます。同じ商品を両方の顧客へ販売する場合、在庫情報を一元化しやすい点が利点でw4

専用ストアでは、法人用の在庫と一般販売用の在庫を分離しやすくなります。ただし、同じ倉庫在庫を二つのストアで共有する場合は、在庫管理システムや連携アプリで同期する必要があります。

比較項目混合ストア専用ストア
在庫原則として共有原則として分離
商品登録一つの商品情報を活用ストアごとに必要
欠品管理一元化しやすい連携設計が必要
法人向け確保在庫追加設計が必要分離しやすい
外部在庫連携一つの接続にまとめやすい複数ストア対応が必要

8.3 デザインとブランドの違い

混合ストアでは、基本的に法人顧客と一般顧客が同じテーマとブランド表現を利用します。ただし、ログイン状態や法人判定を使い、表示する案内、画像、メニュー、商品情報を変更できまw4

専用ストアでは、法人顧客だけを対象としたテーマ、導線、商品説明、問い合わせ方法を設計できます。一般顧客向けの訴求が法人担当者の購入を妨げる場合は、専用ストアが適しています。

比較項目混合ストア専用ストア
テーマ原則として共通法人専用に設計可能
ブランド表現共通性が高い独立させやすい
法人向け導線条件分岐で表示全体を法人向けに最適化
一般向け訴求同じストア内に存在表示されない
開発負担条件分岐が増える場合がある二つのストア管理が必要

8.4 アクセス制限の違い

混合ストアは一般顧客も閲覧するため、ストア全体を法人限定にする用途には向きません。法人限定の商品、価格、ページについて、ログイン状態に応じた表示制御が必要です。

専用ストアでは、登録済み法人顧客だけがストアを閲覧できるようにアクセスを制限できます。ただし、アクセス制限中は未登録企業が申請フォームへ到達できなくなるため、申請ページの公開方法を別途設計する必要がありまh2

比較項目混合ストア専用ストア
一般公開一般顧客も閲覧法人限定に設定可能
法人価格ログイン後に表示ログイン後に表示
ストア全体の制限適さない標準設定で対応可能
新規申請フォーム公開しやすい制限方法に注意
非公開ページ条件分岐やアプリを利用全体制限と部分制限を選択

8.5 適している企業の違い

混合ストアは、法人向けと一般向けで同じ商品、在庫、ブランド、運営担当者を共有する企業に適しています。既存の一般向けShopifyストアへ法人販売を追加したい場合にも有力な選択肢でw4

専用ストアは、法人専用商品が多い企業、法人と一般向けで価格や在庫を完全に分けたい企業、法人顧客だけに公開したい企業に適しています。必要なデータ分離と運用負荷を比較して選択します。

判断項目混合ストアが適する場合専用ストアが適する場合
商品両方で共通法人専用品が多い
在庫共有したい分離したい
担当者同じチーム別チーム
ブランド共通法人専用
アクセス一般公開を維持法人限定にしたい

9. Shopify B2Bと従来型卸売の違い

Shopify B2Bは、既存の卸売取引をすべて無人化するものではありません。注文入力、価格確認、請求、情報共有をオンライン化し、営業担当者が交渉や提案へ集中できるようにする仕組みです。

9.1 注文受付方法の違い

従来型卸売では、電話、メール、FAX、営業訪問で注文を受け付けます。Shopify B2Bでは、法人担当者がオンラインストアへログインし、契約価格と在庫を確認しながら注文できま16

オンライン注文に一本化できない場合も、営業担当者が管理画面から下書き注文を作成できます。注文経路を維持しながら、最終的な注文データをShopifyへ集約する段階的な移行が可能です。

比較項目Shopify B2B従来型卸売
注文受付オンラインで常時受付営業時間内の電話やメール
注文入力顧客が直接入力担当者が転記
契約価格確認ログイン後に自動表示見積書や価格表を確認
入力ミス顧客自身が確認可能転記時に発生しやすい
例外注文下書き注文で対応担当者が個別処理

9.2 価格表管理の違い

従来型卸売では、取引先別価格を表計算ファイル、販売管理システム、紙の価格表などで管理します。Shopify B2Bでは、カタログを通じてオンラインストアの表示価格へ直接反映しま13

価格表をメールで送り直す必要が減り、顧客は注文時点の価格を確認できます。ただし、価格の元データが外部システムにある場合は、Shopifyとの同期方法を決めなければなりません。

比較項目Shopify B2B従来型卸売
価格表カタログで管理ファイルや紙で管理
顧客への共有ログイン後に自動表示メールなどで送付
更新反映ストアへ反映再配布が必要
個別価格プランに応じて設定担当者が手動管理
誤価格の防止設定監査が必要古い価格表の利用に注意

9.3 在庫・商品情報共有の違い

従来型卸売では、顧客が注文するまで在庫状況を確認できないことがあります。Shopify B2Bでは、ストア上で商品情報と在庫状況を確認できるため、欠品商品を含む注文や問い合わせを減らせます。

商品仕様、画像、資料、注文単位などを商品ページに集約すれば、営業担当者が毎回資料を送る必要も減ります。ただし、基幹業務システムの在庫とShopify在庫を同期しなければ、表示数量と実在庫がずれる可能性があります。

比較項目Shopify B2B従来型卸売
在庫確認ストア上で確認可能担当者へ問い合わせ
商品情報商品ページへ集約資料が分散しやすい
仕様変更ページ更新で共有資料の再配布が必要
欠品対応購入前に判断しやすい受注後に判明する場合がある
データ同期システム連携が重要社内システム内で完結する場合がある

9.4 営業担当者の役割の違い

従来型卸売では、営業担当者が注文受付、在庫確認、価格確認、入力、請求書送付まで担当することがあります。Shopify B2Bでは、定型的な再注文を顧客自身に行ってもらい、営業担当者の事務作業を減らせます。

営業担当者が不要になるのではなく、商品提案、契約更新、需要予測、新規顧客開拓、問題解決など、付加価値の高い業務へ時間を配分しやすくなります。オンライン注文と営業活動の役割を明確に分けることが重要です。

比較項目Shopify B2B従来型卸売
定型注文顧客が自己処理営業担当者が受付
注文入力自動化しやすい手作業が多い
営業活動提案や交渉へ集中事務処理に時間を使いやすい
顧客対応例外対応が中心すべての注文に関与
利用時間24時間注文可能担当者の稼働時間に依存

9.5 データ活用の違い

Shopify B2Bでは、オンライン注文、商品、顧客、会社、拠点などのデータを同じ基盤で扱えます。分析機能や外部連携を利用し、法人売上、注文傾向、商品別実績を確認できまh4

従来型卸売では、注文書、営業記録、販売管理システム、会計システムにデータが分散することがあります。Shopifyを受注窓口として統一しても、最終的な売上や債権管理の基準となるシステムを明確にする必要があります。

比較項目Shopify B2B従来型卸売
注文データ自動的に蓄積手入力が含まれる
顧客行動閲覧や注文履歴を活用可能営業記録が中心
集計分析機能や連携を利用ファイル集計が必要な場合がある
データ統合API連携が可能システムごとに分散しやすい
改善活動数値に基づき実施しやすい担当者の経験に依存しやすい

10. Shopify B2Bを導入するメリット

Shopify B2Bの価値は、法人向けストアを公開できることだけではありません。注文業務の削減、顧客体験の改善、販売機会の拡大、データ統合など、事業全体へ影響します。

10.1 注文入力作業を削減できる

顧客がオンラインストアから直接注文すると、営業担当者や受注担当者による転記作業を減らせます。商品番号、数量、配送先などを顧客自身が確認して入力するため、聞き間違いや転記ミスの抑制にもつながります。

特に定期的な再注文が多い事業では、同じ注文を毎月手入力する業務を大きく削減できます。削減できた時間を、顧客への提案、休眠顧客の掘り起こし、商品企画などへ振り向けられます。

10.2 24時間注文を受け付けられる

オンラインストアは、営業担当者の勤務時間に関係なく注文を受け付けられます。顧客は必要なタイミングで商品、価格、数量条件を確認し、その場で発注できます。

営業時間外に受けた注文を翌営業日に処理する運用も可能です。海外の法人顧客や、早朝・深夜に発注作業を行う店舗運営者にとって、注文可能時間の拡大は重要な利点になります。

10.3 法人顧客の購入体験を改善できる

ログイン後に自社専用の商品と価格が表示されるため、顧客は価格表や過去の見積書を探す必要がありません。数量条件、単価、支払期限を確認しながら、自分で注文を完了できまw5

再注文しやすい商品構成、商品番号検索、注文履歴、明確な在庫表示を用意すると、顧客の発注時間を短縮できます。法人向けECでは、華やかな演出よりも、必要な商品へ素早く到達できる設計が重視されます。

10.4 法人向けと一般向け販売を統合できる

混合ストアを選択すると、商品、在庫、注文、顧客対応などを一つのShopify管理画面へ集約できます。同じ商品を法人と一般顧客へ販売する企業では、重複登録や在庫同期の負担を抑えられまw4

ただし、統合すれば必ず簡単になるわけではありません。価格、商品公開、配送、決済、税、コンテンツを顧客区分ごとに分ける必要がある場合は、条件分岐の設計と十分なテストが必要です。

10.5 海外の法人顧客へ展開しやすい

Shopify Marketsを利用すると、法人顧客のグループごとに通貨、言語、税、関税、テーマ、商品、価格などを調整できます。海外市場別の販売条件を管理し、地域に合わせた購入体験を提供できま21

ただし、海外販売では、現地の税制度、輸出入規制、配送、返品、請求書要件を確認する必要があります。Shopifyの設定だけで法務・税務上の要件が自動的に満たされるとは限らないため、専門家と確認しながら進めます。

11. Shopify B2Bのデメリットと注意点

Shopify B2Bは多くの卸売業務をオンライン化できますが、既存業務をそのまま移すだけでは効果を得られません。機能制限、プラン差、データ移行、外部連携、顧客定着などを考慮する必要があります。

11.1 プランによって機能差がある

Shopify B2Bの基本機能は複数の料金プランで利用できますが、カタログ数、会社別価格、前受金、部分入金、マーケット別のストア表示などには差がありまw0

導入費を抑えるために必要機能を削ると、運用開始後に手作業が増える可能性があります。現在の顧客数だけでなく、今後の価格区分、対象国、会社別契約の増加も含めてプランを判断します。

11.2 複雑な価格設定には設計が必要

カタログを増やしすぎると、どの顧客にどの価格が適用されるか分かりにくくなります。複数カタログに同一商品が含まれる場合、優先順位や最低価格の判定を理解する必要がありま14

カタログ名には対象顧客、地域、価格区分、適用年度などを含め、変更履歴を残します。価格設定を営業担当者だけに任せず、経理、商品管理、EC運営の承認工程を設けると誤設定を防ぎやすくなります。

11.3 既存顧客データの移行が必要

既存の顧客情報をShopify B2Bへ移行する際は、会社、拠点、担当者の関係へ変換する必要があります。顧客名、会社名、請求先、配送先、得意先コード、税設定などが不統一だと、移行後のデータ品質が低下しま16

移行前に重複顧客、退職済み担当者、無効な住所、古い価格区分を確認します。すべての顧客を一度に移行するのではなく、主要取引先から試験移行し、注文と請求の流れを検証する方法が安全です。

11.4 基幹業務システムとの連携が必要になる

Shopifyだけで商品、在庫、受注、会計、債権、出荷をすべて管理していない企業では、外部システムとの連携が必要です。Shopify B2Bは、基幹業務システム、顧客管理システム、会計システムなどとのデータ同期に対応できまh2

連携対象ごとに、どちらのシステムを正しい元データとするか決めます。在庫は基幹業務システム、商品説明はShopify、法人価格は価格管理システムなど、項目ごとの管理責任を明確にしなければ、データが上書きされる恐れがあります。

11.5 顧客がオンライン注文へ移行しない場合がある

長年電話やFAXで注文してきた顧客は、ストアを公開しただけでは利用を開始しない可能性があります。ログイン方法、商品検索、注文方法、支払条件の確認方法を案内する必要があります。

初回注文を営業担当者と一緒に行う、操作資料を送る、一定期間は従来注文も受け付けるなど、移行支援を用意します。オンライン利用率を営業評価や顧客支援の指標として追跡することも有効です。

12. 料金プラン別の選び方

Shopify B2Bでは、すべての対象プランで同じ機能が使えるわけではありません。必要なカタログ数、価格設定の細かさ、ストア表示、決済工程、将来の拡張性を基準に選択します。

12.1 Basicが適するケース

Basicでも、会社、会社ロケーション、担当者、数量ルール、数量別価格、支払期限、セルフサービス注文など、法人向け販売の基本機能を利用できまw0

法人顧客を三つ以内の価格区分へ分けられ、会社ごとの完全な個別価格が不要な小規模事業に適しています。ただし、法人カタログ機能を利用するには、新しいShopify Marketsの利用条件を確認する必要があります。

12.2 Growが適するケース

Growでも、法人向けマーケットへ割り当てられる有効カタログは最大3件で、会社への直接カタログ割り当ては利用できません。B2B機能上の主要な上限はBasicと共通する部分がありまw0

B2Bだけでなく、スタッフ権限、レポート、一般向けECの運営機能も含めてプランを検討する企業に向いています。B2B機能だけでなく、ストア全体の取引量と運営体制を基準に判断します。

12.3 Advancedが適するケース

Advancedでは、BasicとGrowのB2B機能に加えて、Shopify Marketsを利用した文脈別のストア表示とチェックアウトのカスタマイズに対応します。法人顧客グループごとに、より異なる購入体験を提供したい企業に適していまw0

一方、法人向けマーケットへ割り当てられるカタログは最大3件で、会社や拠点への直接割り当てはできません。地域別や顧客区分別の三つのカタログで運用できるかを確認します。

12.4 Shopify Plusが適するケース

Shopify Plusでは、法人向けカタログを無制限に作成でき、会社または会社ロケーションへ直接割り当てられます。取引先ごとに固有の価格、商品、数量条件を設定する大規模卸売に適していまw0

前受金、部分入金、出荷単位の支払請求など、高度な決済機能もShopify Plusで利用できます。複数地域、複数ブランド、大量の法人顧客、複雑な承認・請求工程がある企業では有力な選択肢です。

12.5 必要機能からプランを判断する

プランを選ぶ際は、現在の法人顧客数だけでなく、必要な価格区分数、会社別価格の有無、決済工程、海外展開、ストア表示の変更範囲を確認します。月額費用だけでなく、手作業や外部アプリにかかる運用費も比較します。

安いプランに複数の外部アプリを追加するより、上位プランの標準機能を利用した方が、総費用と保守負担を抑えられる場合があります。反対に、価格区分が少なく単純な卸売であれば、通常プランから小さく始める方法が適しています。

機能BasicGrowAdvancedShopify Plus
会社・拠点管理対応対応対応対応
法人向けマーケット用カタログ最大3件最大3件最大3件無制限
会社・拠点への直接割り当て非対応非対応非対応対応
数量ルール対応対応対応対応
数量別価格対応対応対応対応
文脈別ストア表示非対応非対応対応対応
高度な前受金・部分入金非対応非対応非対応対応

13. Shopify B2Bの導入手順

Shopify B2Bの導入では、管理画面の設定だけでなく、既存の顧客、価格、商品、在庫、請求、物流をどのように移行するかを決めます。次の順序で進めると、設定漏れを抑えやすくなります。

13.1 現在の法人取引を確認する

最初に、法人顧客数、拠点数、担当者数、価格区分、支払条件、最低注文数、注文経路を確認します。顧客ごとに完全な個別条件があるのか、いくつかの共通区分へまとめられるのかを判断します。

電話注文、FAX注文、メール注文、営業担当者による代理注文など、現在の受注経路も記録します。Shopify公開後に停止する業務と、例外処理として残す業務を分けておくことが重要です。

13.2 混合ストアか専用ストアを選ぶ

一般向け販売と商品、在庫、担当者、ブランドを共有する場合は混合ストアが候補です。法人と一般向けで業務やデータを分けたい場合は専用ストアを検討しまw4

ストア形式を後から変更すると、多くの設定を作り直す可能性があります。現在の管理負担だけでなく、三年後の顧客数、取扱商品、海外展開、運営組織まで想定して決定します。

13.3 会社と会社ロケーションを登録する

法人顧客を会社として登録し、支店、店舗、営業所などの購入単位を会社ロケーションとして作成します。拠点ごとに請求先、配送先、税設定、支払条件、チェックアウト設定を登録しま33

大量の顧客を移行するときは、得意先コードを使って重複を防ぎます。顧客担当者が複数拠点へアクセスする場合は、拠点の選択画面と権限が意図どおりに動作するか確認します。

13.4 カタログと取引条件を設定する

法人向けの商品、価格、数量ルール、数量別価格をカタログへ登録します。続いて、対象となる法人向けマーケット、会社、会社ロケーションへカタログを割り当てまw0

価格を登録した後は、通常価格、法人価格、数量別価格、割引の重複を確認します。テスト用法人顧客でログインし、商品ページ、カート、チェックアウト、注文確認画面の金額を検証します。

13.5 テスト注文後に顧客を招待する

本番公開前に、複数の会社、拠点、権限、支払条件を持つテスト顧客を作成します。ログイン、拠点選択、商品表示、価格、数量制限、配送、支払い、注文確認、通知メールまで確認しま15

検証完了後、法人担当者へアクセス案内メールを送ります。全顧客を同時に招待するのではなく、主要顧客から順番に開始し、問い合わせ内容を反映して操作説明やストア導線を改善します。

14. 法人向けストアを運用するポイント

Shopify B2Bの設定が完了しても、法人顧客が使いやすいとは限りません。検索、商品情報、再注文、権限、通知、自動化を継続的に改善する必要があります。

14.1 法人顧客向けの表示を切り替える

Shopifyテーマでは、顧客が法人顧客であるかを判定し、案内文、メニュー、資料、問い合わせ先などを切り替えられます。公式のLiquidオブジェクトには、法人顧客判定、現在の会社、現在の会社ロケーションなどが用意されていまh8

混合ストアでは、一般顧客に不要な卸売案内を表示せず、法人顧客にだけ注文条件や営業担当者情報を表示する設計が有効です。テーマを編集する前に複製を作成し、公開前のテーマで動作確認します。

Liquidによる法人顧客向け表示例

{% if customer and customer.b2b? %}  <section class="b2b-notice">    <h2>法人会員専用ページ</h2>    {% if customer.current_company %}      <p>        {{ customer.current_company.name }}としてログインしています。      </p>    {% endif %}    {% if customer.current_location %}      <p>        現在の購入拠点:        {{ customer.current_location.name }}      </p>    {% endif %}    <p>      表示価格と購入条件は、現在選択中の会社拠点に基づきます。    </p>  </section> {% endif %}

14.2 商品番号から検索しやすくする

法人顧客は、商品名よりも型番、品番、管理番号で商品を探すことがあります。商品名、商品説明、バリエーション名、商品管理コードの付け方を統一し、検索しやすい状態にします。

取扱商品が多い場合は、ブランド、用途、サイズ、素材、対応機種などの絞り込みも重要です。顧客が紙の注文書を見ながら商品番号を入力し、短時間でカートへ追加できる導線を目指します。

14.3 再注文しやすい導線を作る

法人取引では、同じ商品を定期的に購入するケースが多いため、注文履歴から商品を確認しやすくします。頻繁に購入する商品をまとめたコレクションや、会社別の推奨商品を用意する方法も有効です。

顧客が毎回商品カテゴリをたどらなくても、数回の操作で注文を完了できる状態が理想です。再注文にかかった時間、カート離脱率、問い合わせ内容を確認し、改善箇所を特定します。

14.4 Shopify Flowで定型業務を自動化する

Shopify Flowでは、法人注文の自動タグ付け、社内通知、請求書の追加送信、新規法人申請の処理などを自動化できまw7

ただし、すべてを自動承認すると、審査前の会社が法人価格へアクセスする可能性があります。会社名、メールドメイン、申請内容などを確認し、自動化してよい処理と人による確認が必要な処理を分けます。

14.5 指標を決めて改善を続ける

法人向けECでは、売上だけでなく、オンライン注文率、注文入力時間、問い合わせ数、再注文率、平均注文額、注文エラー率などを確認します。導入前の数値と比較することで、業務改善効果を判断できます。

オンライン売上が増えていても、手動修正や問い合わせが増えている場合は、顧客体験が改善していない可能性があります。営業、受注、物流、経理、顧客から定期的に意見を集め、設定と画面を更新します。

15. API・外部システム連携とコード例

Shopify B2Bは、管理画面だけでも運用できますが、顧客数や商品数が多い企業では外部システムとの連携が重要になります。管理API、ストアフロントAPI、Liquidを利用すると、会社管理や法人価格表示を拡張できます。

15.1 管理APIで会社情報を取得する

ShopifyのGraphQL管理APIでは、会社、会社ロケーション、会社担当者、カタログ、法人注文などのデータを取得・操作できます。基幹業務システムや顧客管理システムと会社情報を同期する用途に利用できま34

実際のアプリでは、必要なアクセス権限、ページ送り、API利用制限、エラー処理を実装します。会社名だけでなく外部識別番号も取得し、社内システムの得意先データと照合できるようにします。

会社一覧を取得するGraphQL例

query GetCompanies($first: Int!, $after: String) {  companies(first: $first, after: $after) {    nodes {      id      name      externalId      locations(first: 20) {        nodes {          id          name          externalId        }      }    }    pageInfo {      hasNextPage      endCursor    }  } }

変数例:

{  "first": 50,  "after": null }

15.2 管理APIで会社を作成する

companyCreateを利用すると、会社、会社ロケーション、会社担当者を一度の処理で作成できます。外部の顧客管理システムで法人契約が承認された後、Shopifyへ自動登録する処理に利用できまw3

登録後は、返された会社IDと会社ロケーションIDを外部システムへ保存します。同じ会社を再登録しないように、処理前に外部識別番号やメールアドレスで既存データを確認する必要があります。

会社・拠点・担当者を作成する例

mutation CreateCompany($input: CompanyCreateInput!) {  companyCreate(input: $input) {    company {      id      name      locations(first: 10) {        nodes {          id          name        }      }    }    userErrors {      field      code      message    }  } }

変数例:

{  "input": {    "company": {      "name": "株式会社サンプル",      "externalId": "CUSTOMER-10025"    },    "companyLocation": {      "name": "東京本社"    },    "companyContact": {      "firstName": "太郎",      "lastName": "山田",      "email": "[email protected]"    }  } }

15.3 法人顧客に合わせて商品情報を取得する

独自構築したストアでは、顧客アクセストークンと会社ロケーションIDを購入者情報として指定し、法人向けに調整された商品価格、数量ルール、数量別価格を取得しまw1

購入者情報を指定しない場合、通常の商品公開状態と基準価格が返され、法人顧客専用の条件が反映されません。また、法人別価格を含む応答を共有キャッシュすると、別の顧客へ契約価格が表示される危険があるため、購入者別データのキャッシュを無効化しまw2

法人価格と数量条件を取得する例

query GetB2BProducts($buyer: BuyerInput!) @inContext(buyer: $buyer) {  products(first: 10) {    nodes {      id      title      variants(first: 20) {        nodes {          id          title          price {            amount            currencyCode          }          quantityRule {            minimum            maximum            increment          }          quantityPriceBreaks(first: 10) {            nodes {              minimumQuantity              price {                amount                currencyCode              }            }          }        }      }    }  } }

変数例:

{  "buyer": {    "customerAccessToken": "顧客アクセストークン",    "companyLocationId": "gid://shopify/CompanyLocation/123456789"  } }

15.4 カートへ購入者情報を設定する

ストアフロントAPIで法人向けカートを作成する場合、カートの購入者情報へ顧客アクセストークンと会社ロケーションIDを設定します。これにより、カートとチェックアウトに法人価格や購入条件が反映されまw2

商品をカートへ追加した後に会社ロケーションを変更すると、新しい拠点で購入できない商品が削除されたり、数量条件が変わったりする可能性があります。拠点選択は商品追加前に行わせ、変更時にはカート内容を再検証します。

法人向けカートを作成する例

mutation CreateB2BCart($input: CartInput!) {  cartCreate(input: $input) {    cart {      id      checkoutUrl      buyerIdentity {        customer {          id        }        companyLocation {          id          name        }      }      lines(first: 20) {        nodes {          id          quantity        }      }    }    userErrors {      field      code      message    }  } }

変数例:

{  "input": {    "buyerIdentity": {      "customerAccessToken": "顧客アクセストークン",      "companyLocationId": "gid://shopify/CompanyLocation/123456789"    },    "lines": [      {        "merchandiseId": "gid://shopify/ProductVariant/987654321",        "quantity": 20      }    ]  } }

15.5 外部システム連携では元データを明確にする

Shopify B2Bは、基幹業務システム、会計システム、顧客管理システム、商品情報管理システム、物流システムなどと連携できます。同期対象には、会社、顧客、注文、在庫、商品、カタログ、価格、支払状況などがありま25

連携開発では、Shopifyと外部システムのどちらが各項目の元データになるかを決めます。双方向更新を無計画に実装すると、古い価格や住所で新しいデータが上書きされるため、更新方向、更新時刻、競合時の優先順位、再実行方法を定義します。

管理APIを呼び出すJavaScript例

const shopDomain = process.env.SHOPIFY_SHOP_DOMAIN;
const accessToken = process.env.SHOPIFY_ADMIN_ACCESS_TOKEN;
const apiVersion = process.env.SHOPIFY_API_VERSION;

async function fetchCompanies() {
 const query = `
   query GetCompanies($first: Int!) {
     companies(first: $first) {
       nodes {
         id
         name
         externalId
       }
     }
   }
 `;

 const response = await fetch(
   `https://${shopDomain}/admin/api/${apiVersion}/graphql.json`,
   {
     method: "POST",
     headers: {
       "Content-Type": "application/json",
       "X-Shopify-Access-Token": accessToken
     },
     body: JSON.stringify({
       query,
       variables: {
         first: 50
       }
     })
   }
 );

 if (!response.ok) {
   throw new Error(
     `Shopify API request failed: ${response.status}`
   );
 }

 const result = await response.json();

 if (result.errors) {
   throw new Error(JSON.stringify(result.errors));
 }

 return result.data.companies.nodes;
}

fetchCompanies()
 .then((companies) => {
   console.log(companies);
 })
 .catch((error) => {
   console.error(error);
   process.exitCode = 1;
 });

アクセストークンをブラウザ側のJavaScriptへ埋め込んではいけません。管理APIはサーバー側から呼び出し、認証情報を環境変数や秘密情報管理サービスで保護します。

おわりに

Shopify B2Bとは、法人顧客を会社、拠点、担当者として管理し、取引先に応じた商品、価格、数量条件、支払条件、注文方法を提供する企業間取引向け機能です。オンライン注文だけでなく、営業担当者による下書き注文、請求書、掛け払い、注文確認など、既存の卸売業務を残しながら段階的にデジタル化できます。

現在はBasic、Grow、Advanced、Shopify Plusで多くのB2B機能を利用できますが、カタログ数、会社別価格、文脈別ストア表示、高度な入金管理にはプラン差があります。単純な価格区分であれば通常プランから始められますが、顧客ごとの契約価格や複雑な請求工程がある場合はShopify Plusを含めて検討する必要があります。

導入を成功させる鍵は、機能を増やすことではなく、現在の取引条件を明確にし、会社、拠点、価格、商品、注文、支払いのデータ構造を整えることです。主要顧客による試験運用から始め、問い合わせや注文データを確認しながら改善を続けることで、受注業務の削減と法人顧客の購入体験向上を両立できます。

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